61:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 11:14:12.71 ID:j33RXimq0
第22話 最後の選択
進んだ先の開けた空間の中央には巨大な石碑があった。
一辺の長さが3メートルはある巨大な石碑、壁と言っても遜色ないそれを勇者一行は見上げた。
魔法使い「……読めねぇ…何語だコレ」
勇者「200年前の古代語だな……」
戦士「……」
聖剣、勇者の剣、その眷属器、戦士の斧、僧侶の槍、魔法使いの杖、魔物の心。
戦士(魔物の心?)
戦士になる以前は学者であった彼女は、古代語を読むことができた、
内容としては、今なお語り継がれる勇者伝説を書き連ねているだけであるが、その中のある一文に彼女は眉を寄せた。
戦士(魔物の心……)
戦士は逡巡する。 このワードは初めて知った。 魔物の心……単純に考えるならば、誰かの心に宿っている……? じゃあ……僧侶を殺したのは……
勇者「…戦士、お前確か古代史を研究してる学者だったよな? これにはなんて書いてある?」
勇者の言葉に、彼女の思考はそこで途切れた。 若干の間を開けた後、戦士は口を開く。
戦士「……単なる勇者伝説を書き連ねているだけね、この城や魔王のことは何も記されていないわ」
仮に今頭に浮かんだことは所詮仮定である。 だとするならば無駄な混乱を避ける意味でも言うべきではないと判断した戦士は、そううそぶいた。
勇者「……なぜ……そんな物が魔王城に?」
勇者はこめかみを親指で抑える。
戦士「……何か、この魔王城変じゃない? 少しみんなで考えても見てもいいと私は思うけど」
戦士の言葉に、勇者は目を閉じた。
魔法使い「いや意味ないなら先を急ごうぜ、こんなところで考えたってしょうがねぇよ」
勇者「……」
勇者は思考する。
なぜ…こんなモノが魔王城に? 先ほどのカラクリにしても妙な事が多すぎる。
何か違和感がある、誰かの手のひらの上で、ずっと踊らされているような……
戦士の言葉が引っかかる、ここで一度深く考えるべきだろうか? それとも魔法使いの言うように先を急ぐべきだろうか?
勇者は心の秤を慎重に見定めた。
仮に、ここで話し合ったとして何がわかるというのだろう? それよりももし戦士の口車に乗って帰るなんて話になったらそれこそ………
勇者「……行こう、魔法使いの言う通り、考えていても無駄な時間だ」
戦士「……」
戦士は、どこか諦めたように小さく息を吐いた。
勇者ならそう決断するであろうことをどこかで感じていたのだ。
しかし、そう諦めても、否、考える時間を確保できなかった故に彼女の脳の思考速度は加速した。
戦士は石碑の裏側へ歩きだす二人を見つめながら一人考える。
思考が理屈を無視して展開しているのを感じる。 論理的な飛躍を続ける思考、その背骨は魔物の心だ。 詳細は無視、ただ結果とその事実から導かれる可能性を彼女の思考は考査し続ける……
そして
僧侶が死んだときの……全員の位置取り
戦士「……!」
戦士はハッと目を開いた。
まさか――いや――でも――……
凶撃が彼女の背を貫き。 戦士は絶命した。
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