勇者(Lv99)「誰が僧侶を殺したか」
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75:名無しNIPPER[saga]
2016/08/03(水) 00:10:45.50 ID:4XukhikH0
第26話 殺害方法のみ

魔法使い「……」

 魔法使いは目を覚ました。 目の先、腰を下ろし石碑に背を預け片膝に腕を置いた姿勢で、勇者が彼を見つめていた。

魔法使い「……ッ」

 失った左腕と右足が痛む、少しでも動かすと脳髄に激痛が響いた。

 破壊面は高熱による固着が止血の効果を及ぼしており、出血死の可能性は薄いようだった。

勇者「お前の目的はなんだ? この城は? なぜ勇者の仲間に魔物の心が必要なんだ?」

 立ち上がり、魔法使いの前に立った彼はそう言った。

魔法使い「何を言ってるのか……わかんねぇよ」

 脂汗を流し、激痛に顔をゆがめながら魔法使いは口を動かす。

勇者「……力場の杖」

 勇者の言葉に呼応し、手のひらに光が収束すると杖の形に変形し、力場の杖となった。

魔法使い「……」

 魔法使いは涙を流す、なぜこんなことになったのか、現状がどうしようもなく情けなく、やるせなかった。

 なぜ……なぜ……

 勇者は息を吸うと、呟くように言葉を発する。

 王者の剣、紅蓮の斧、蒼空の槍、破邪の剣、幻魔の斧、天使の槍、聖嵐の剣、水月の斧、十字の槍、紫電の剣、海哭の斧、浮雲の槍、鎧破の剣、寂光の斧、界雷の槍、謐滅の剣、塵渦の斧、風陣の槍、金剛の剣、地砕の斧、神木の槍、風響の剣、斬馬の斧、貫烈の槍、樹隕の剣、電岩の斧、彗星の槍、風刃の剣、天斬の斧、闇祓の槍……

 勇者の言葉に応じてふくろから取り出される武器が次々と床に重なってゆく。

 やがて勇者は力場の杖をかざす、床に転がった武器が一斉に宙に浮きあがり、その切っ先を魔法使いへ向けた。

勇者「…これが、僧侶と戦士の殺害方法だ。実際はもっと少なかったろうがな」

 無数の武器を背景に立つ勇者を見て、魔法使いは目を瞠った。

勇者「もういい加減、とぼけるのはやめないか? 俺も且つての仲間にこんな事したくない」

 勇者は、疲れた様子でそう言った。

魔法使い「……それで……俺が犯人扱いか……」

勇者「そうだ、俺たちの布陣は前衛を防御力の高い俺と戦士、後衛を僧侶と魔法使いが担当していた。 僧侶が背後から襲われた以上、普通に考えればを殺すチャンスがあったのはお前だけだ」

魔法使い「……」

 魔法使いは、涙を流しながら激痛に歯を食いしばる。

 この痛みは失った体の痛みなのか、砕けそうな心から発せられるものなのか、彼には分らなくなっていた。

勇者「なぜ、魔物の心が必要なんだ?」

魔法使い「……俺と僧侶は付き合ってた」

勇者「……だからどうした?」

魔法使い「俺が……僧侶を殺す……? そんなことあるわけない」

勇者「……ッ!!」

 この状況でなお要領を得ない魔法使いの返答に、勇者は激昂する。

 内側から溢れ出すマグマのような怒りは、やがてある悪魔的な誘惑へと勇者を誘った。




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