81:名無しNIPPER[saga]
2016/08/04(木) 19:53:11.62 ID:leYoC1l+0
魔法使い「……ッ!!」
魔法使いは顔を赤く染め、激怒と驚愕の入り混じった表情で勇者を見つめた。
今までの旅が、魔法使いの脳裏をよぎる、辛く苦しい冒険の旅。 何度も死を覚悟したし、何度も挫けそうになった。 でもそのたびに僧侶の純粋さが、戦士の冷静でも優しい言葉が自分を支えてくれた。
皆苦しかっただろう、適性外の職に苦しむこともあったはずだ。
でもみんな、世界のために、その一心で命がけの旅を続けてきたのだ。
そんなみんなを、この男は――
魔法使いの表情に、勇者はゾクゾクと全身に快感が走るのを感じた。
もっと傷つけ、貶め、辱めてやりたいという衝動が心の底から噴き出す。
勇者「本当は戦士――あの鬱陶しい女にこの話をしてやりたかったんだがな、残念だ、だけどさ、みんな健気だよな、全く自分に向かない職業で必死に頑張ってきたんだから、どう頑張ったってたかが知れて――」
魔法使い「――勇者ァァぁァアアアッ!!」
魔法使いは叫び声をあげると、激痛も忘れ右腕を勇者へとかざす。
魔法使い「 極 大 灼 ――
無数の武器群が魔法使いの全身を貫き、彼を絶命させた。
勇者「……」
勇者は静かに、突き刺さった武器でハリネズミのようになった魔法使いの死体を見下す。
魔物の心の正体がわからなかったのは痛手だが、その分楽しませてもらった。
魔王戦を前に不安要素を取り払っただけでも良しとするしかあるまい。
魔物の心、歴代の勇者もそのハンデを超え魔王を倒したとするなら、状況はさして変わらないだろう。
そうだ、これは自分に与えられた試練なのだ。
勇者は不意に天啓を得る。
極楽へとたどり着くための試練
そのための剣
そのための仲間の選定
そのための迷宮魔王城
そのための魔物の心
そのための魔王討伐
だとしたら自分は意図せず試練の難易度を下げていたのだろう。
なんという幸運。 いや、きっと無意識にそのことを考慮していたのだ。
なぜなら、俺は勇者となる500万人に1人の資質を備えているのだ。 それくらいできて当然。
やはり自分は特別なのだ。
そうだ、それですべてに説明がつく。
す べ て は 、 女 神 様 の 試 練 だ 。
勇者はそう結論づけると、二人の死体を残し歩きだした。
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