マミ「QBかく語りき」 QB「君らしいね」
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251: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2016/12/31(土) 15:27:45.05 ID:eFXi0ApIo
その日、特別な外出用のワンピースを着た。さやかはじいっと鏡を見て襟元のブローチをちょっと触った。
「もう出かけないと」と父の声がして母が「はーい」と返事する。
こうして家族で出かけるのは久しぶりだった。電車では座れなかったけれどドアの窓から外を眺めることができた。生まれてからずっと住んでいる街。見飽きない。
駅からそう遠くないコンサート専用ホールに到着した。入り口で記名を済ませ、パンフレットを受け取って広いエントランスを通り抜ける。あちらこちらで大人たちが挨拶を交わしている。
重い二重扉をくぐって会場に入り、席に着く。「ちゃんと座っていられるかな?」と母がさやかの顔を覗き込んだ。
かしこまった場所は苦手だし、じっとしていることも好きではないけれどもちろんさやかはちゃんとできる。小さな子供ではないから。
真面目くさってそう抗議すると両親は揃って微笑んだ。
開演ブザー が鳴り響くとざわめいていたホールが静寂に包まれた。さやかより少し年下らしい女の子が緊張しながら舞台に現れてお辞儀をし、バイオリンを奏で始めた。
少々危なっかしいところもあったがピアノ伴奏に助けられながら無事に二曲弾き終え、拍手で送られて退場していった。すぐに次の子の演奏が始まる。
三、四人が同様に弾き終わった頃さやかはとうとう退屈し始めた。
恭介の出番まであと何人分聴かなきゃいけないんだろう。
「なあ、これおもしろいのか?」
隣に座ったポニーテールの子が話しかけてきた。幾つかはわからないけれどさやかよりは確実にお姉さんだ。
なんだかとても嬉しそうにキラキラした目でさやかを覗き込んでいる。
「演奏中はお話ししたらいけないんだよ?」
小さな声で教えてあげた。(し〜)と人差し指を顔の前で立てて見せる。
「ごめんごめん」
その子は声を落としたが、なぜかますます笑みを深めてさやかを見た。丈の長い黒のワンピース姿で、肩から胸を覆う幅のある白いカラーが鮮やかだ。首元に細いリボンをつけている。
「なんだかつまんなそうにしてたから」
にいっと八重歯を見せてそう言う。どこかで見た笑顔だな、と思った。そしてまったくその子の言う通りだったのでさやかは相手をすることにした。ひそひそと言葉を返す。
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