1: ◆/BueNLs5lw[sage]
2016/12/10(土) 21:27:01.91 ID:IKEcAqUy0
いつも以上に見切り発車です。それでも良ければ。
目の前に鬼がいた。
当時、小学4年生だった私にはそう見えた。
その鬼は私よりもうんと背が高くて、金切り声でキンキン叫んでいた。
鬼は、私よりも3つ上の女の子で、私と私の隣にいた鬼の弟の右頬を平手で殴って、
ついで、私を睨み付けた。
「ひろ君に、悪い事教えないで! 分かった?!」
私は泣きながら、もはや何を喋っているのか自分でも分からないくらい嗚咽を漏らしつつ、
「ごッ……な……さ……ィ」
と、何度も何度も謝った。
隣のひろ君(当時、小学1年生)もすりむいた頬をさらに真っ赤に照らし、私にしがみつきながら謝った。
私たちが何をしでかしたのかというと、放置自転車に二人乗りしただけだった。
今でも、あれのどこがいけなかったのか、と思い返すと腹立たしい。
冒険。冒険だ。ロマンだ。怪我だってするさ。
あのドキドキを彼女は理解しようとさえしなかった。堅物ってあんな感じなんだろう。
そして、それから、私は彼女と一切コンタクトを取らなくなった。
弟のひろ君とは今でも悪友である。
と、過去を遊覧していた私は、改めて現実を見直した。
「あ……お久しぶりです」
とびきりの余所行き声。
私は自分の顎がひくついたのが分かった。
目の前にいたのは、私よりも頭2つ分は小さい、子鬼だった。
2: ◆/BueNLs5lw[sage]
2016/12/10(土) 21:47:40.52 ID:IKEcAqUy0
おかしい。笑ってしまうくらいだ。
今の今まで、絶対に会わないようにしていたのに。
ひろ君から聞き出した情報によって、彼女と絶対に接触しない怪しげな裏路地を使ってきたのに。
いや、そもそもこれは本当に彼女だろうか。
だって、これは、あまりにも、
3: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/12/10(土) 23:09:57.85 ID:IKEcAqUy0
ちあきさんが吐いた溜息が頭上から降って来た。
「あの子は、ほんとに……」
私も、とばっちりを受ける前に立ち去りたい。
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