20: ◆NERDVAqS3I
2017/01/16(月) 23:09:28.53 ID:6j4Pz0iq0
美優さんの厚意に甘え先にシャワーを浴びて汗を流した。
なにやらいい匂いのするバスタオルで体を拭きながら、ふと洗面台を見てみると懇切様々な化粧品が置いてあって少しびっくりした。しかし考えてみれば出会った当初から自分を着飾るのに無頓着というわけではなかった気がする。それは荒木さんや鷺沢さんの領分か。
体を拭き終えて服を着る。着替えがないのは嫌だが汗は殆どないだけましだろうか。
髪は……、まあいいか。美優さんにもシャワーを浴びてもらおう。さっさと部屋に戻ることにする。
「……すいません。スーツの処理も任せてしまって」
「いえ……、私も汗を流してきますね……」
「分かりました」
美優さんを見送ったあとベッドに腰をかけて、スーツを確認する。すっかり綺麗になっていた。取り替えたのだろう。
ようやく一息着く。
「はぁ〜……」
結局言いたいことを言えず、やることだけやってしまった。自己嫌悪に苛まれる。
ずぶずぶと美優さんという沼に沈んでいくのが見なくてもわかる。もう抜け出せそうにはない。
このまま溺れる前になんとかしなくては。……、いや、溺れてもいい状況にしなくては、か。
こんな調子で関係をさらに進めていったら、確実にどこかに漏れる。それが会社なのか、マスコミなのか、ゴシップ紙なのかは分からないが良い方向には進まない。
特に美優さんくらいの年齢だと熱愛発覚だなんて面白おかしく書かれてしまう。未成年のように一瞬だけ話題になって流れてもくれないだろう。それもプロデューサーとだなんていったら会社から切り捨てられてもおかしくない。美優さんとは近づけなくなった挙句に二人とも仕事を失う事すらあり得る。
「…………Pさん?」
「…………、」
「Pさん……大丈夫、ですか?」
「あ、……すいません」
いつの間にかシャワーを浴び終えていたらしい。全く気付かなかった「ちょっと考え事をしてまして」と言葉をつづけた。
「なんでしょう……、相談、乗りますよ……?」
「…………、」
ここ以外にいうタイミングがないだろう。
一寸先さら分からない足場に歩を進めなければならない。
とても、怖い。だが停滞して、誰かに壊されるよりは。
「美優さん」
「はい……?」
意を決する。
「このまま二人でトップアイドルを目指すか、それとも引退をして人並みの幸せを得るか。選べますか」
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