天秤(オリジナル百合)
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77: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/02/19(日) 15:50:17.08 ID:E+i5dEgC0
姉「つまり、妹に先生のお父さんがしていたこと……?」

数学教師「ああ、そして僕にして、未完成に終わったこと。君の妹は、凄いよ。7日間それに耐えたのだから。あれに耐えて、廃人にならなかったんだから。強い子だ。でも、僕はダメだ。もたなかった」

姉(この人も、この人のお父さんも……おかしい)

姉「……妹がおかしくなったのも、そのせい?」

数学教師「同情してるのかい?」

姉「あ、えっと……」

数学教師「きっと、彼女の心はその時何か変化した」

姉「先生も、先生もそうなんですか?」

数学教師「……」

姉「あの、もしかして、その首のむち打ち、お父さんに殴られたんじゃないんですか?」

数学教師「いいや、僕は違う。父がボクにくれたのは愛だよ。僕は目に見えないものだった愛という感情を、体に受けることができたんだ。僕の体によって、愛は顕現したんだ。素敵な事だ? そうじゃないか? それに、彼は僕の本当の父親ではなかった。家も離れ離れだった……なのに、わざわざやってきて僕を気にかけてくれたんだ」

姉「妹が受けたことは……」

数学教師「父の愛にも等しいよ。なにせ、父はあの病院を憎んだだけで、君達姉妹を憎んでいたわけではない。だから、最高のおもてなしをしたまでだったんだ。君の妹が羨ましい……でも、それはあるいは君だったのかもしれないね」

姉「え?」

数学教師「そうだろ? どうして、兄の娘である必要があった。弟の娘でも良かったはずだ」

姉「私……だったら」

数学教師「なあ、そう考えると、君は不幸だったのか幸せだったのか? どっちだろう? 答えなくてもいい。分かっているだろう」

姉「……私は」

キーンコーンカーンコーン

数学教師「さあ、授業に行かなくちゃね」

カタンッ
カツカツカツ――

姉「……」



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