勇者「幼馴染がすごくウザい件」
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80: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/03/25(土) 22:37:34.62 ID:FmZTuUXi0
カケル「はぁ……」

まるで今までの出来事が嘘のように、トモエは床をベッドにして、裸の状態で膝を抱えて横になっている。
悪夢のような、官能的な出来事がようやく終わったと、俺は疲れ切った表情でその場にへたりと座りこんだ。
血がすーっと引いて、次第に動悸がおさまってきた。張り詰めていた緊張と気力がここにきて切れたのかもしれない。
ゴソゴソと手探りで腰巾着から、あらかじめすり潰しておいた煎じ薬を飲むと、幾分かは疲労感がマシになったが、顔の筋肉はまだつっぱっているのがわかった。自分で思っていたよりもいっぱいいっぱいだったらしい。

ミラ「カケルっ!」

手をひらひらとあげて応える。あ、そういやこっちの2人は両手足が石化したままだったな。

ベニ「そいつ、起こして」

ぎょっ、と目を剥く。なぜに? また襲いかかってきたらもうセックスバトルみたいな誤魔化しは通用しないぞ。

ベニ「大丈夫。サキュバスには魂に刻まれたから、私たちを守る必要はない。足手、まといで、ごめん」

俺のたどたどしい態度からなにかを察したのだろう。歯切れが悪く、足手まといとかわけのわからないことを言っているが、ベニは苦笑して、気恥ずかしそうに俯いていた。

カルア「……う……ぅ……」

俺たちの話声以外に物音がひとつとしてしない広間からクレーターができた底から呻き声が聞こえる。そうだった。すっかり存在を忘れていたがボコボコに殴られたこいつもいたんだった。放置してたらマジに死んじまうだろうな。
このまま死なれちゃ夢にでてこられでもしたら目覚めが悪い。
仕方ない、起こすか。
できれば放置しておきたかったのだが、ベニの言葉を信じよう。髪を乱雑にかき上げ、そうと決まれば早々にトモエの頬をペシペシと叩いた。

トモエ「……ん……」

なるべく、機嫌を損ねないように細心の注意を払った。かなり優しくしたということだ。
何度か叩いたあと、俺の手に反応して、トモエがうっすらと閉じていた瞳を開く。

トモエ「あ……わたし……あのまま……」

内心俺はビクビクだ。レイプまがいの行為をしたことといい、いつ復讐されてもおかしくない。しかし、トモエは床を見つめるだけで何かをしてくるという気配はなかった。ただ、無気力というか、諦めたように笑みを浮かべていた。
俺にとってみれば、これは奇妙な光景だった。
さっきのセックスは屈服させるために行ったことではあるが、実力差は埋まるものではない。ちんぽの力で勝ったはいいものの、腕力とか魔法でこられたらその瞬間に俺は詰む。
それぐらいわからないわけではないだろう。

トモエ「わたしをどうするつもり……?」

はて? どうするもこうするも俺の命を握ってるのは俺じゃないのだが?

トモエ「サキュバスは、種つけされた相手には死ぬまで逆らえない。……あなたも知っているんでしょう?」

初耳だった。これが魂に刻まれるって意味か。

トモエ「魔王さま、愚かな人間に敗北してしまいた。どうぞ、この世に絶望を……」

深い息をはいて、遺言のようなものを呟きはじめていた。ふぅん、いや、待てよ。この女、実力的には申し分ない。
――なんと言っても五大魔術師を圧倒するほどの力だ。だとすれば、俺のボディーガードをお願いしたりできないだろうか?
村に帰った後は、もう悪さをしないと約束させて解放すればいい。俺も若干罪悪感があるし、それでお互いにいいんじゃないかな。
だから、もう一度、肩に手をあてて――。

カケル「(村に帰るために)お前がほしいんだ……」

真摯に呟いた。

トモエ「私を慰めものにでもする気? 人間の相手なんか」
カケル「そうじゃない」

それきり、押し黙ってしまった。トモエは一言も口を発せず、視線を合わせようともしない。しかし、ひどく悩んでいるようにも見える。やっぱり、だめなのかな。

トモエ「人間なんて、屑よ。魔族にしてきた仕打ちをあなたがなかったことにできるつもり⁉︎」

ガシャン!
凄まじい気の流れを感じ、トモエがいる辺りの床が割れた。おお、恐ろしい。ちょっと怒気をはらんだだけで大理石を破壊するなよ。


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