18: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2017/05/07(日) 01:17:41.67 ID:upUN87ha0
「アタシも好きっす。響子ちゃんを一人の人間として、女性として」
目は真剣そのものだった。響子はその目に吸い込まれるようにゆっくりと沙紀に寄り添った。
沙紀は無言で彼女をゆっくりと抱きしめた。先程みたいに強引なものではなく味わうように抱擁すると、彼女の温かい体温と仄かに香る香水の匂いが鼻をくすぐった。
「嬉しい……」
響子はそう呟くと抱かれるままに身を預け胸元に顔を埋める。沙紀は彼女の軽い重さを感じながらしばらく抱き合っていた。
寄り添った彼女はよほど嬉しかったのか、日頃沙紀が見たことがないぐらい甘えるようにすり寄っていた。
(可愛いな)
何となく甘える猫のような、そんな印象を受けた沙紀はつい、彼女の頭を優しくなでていた。
「ん……」
ふわっと撫でられ響子は小さく声をあげる。ハッとして沙紀は慌てて手を離した。
「あ、その、ごめん。つい……」
口籠りながら謝ると、響子は沙紀を物欲しそうな瞳で見上げている。
そして恥ずかしそうに頬を赤らめながら小さく呟く。
「沙紀さんがしたいなら、いいですよ……」
そのまま恥ずかしそうにポフッと沙紀の胸に響子は再び顔を埋めた。どうしたものかと沙紀は手持無沙汰になっていたその手を自身で見つめて、やがてそれを誘われるまま彼女の頭に置いた。
「やめて欲しいときは言って」
そのままゆっくりと髪の流れに沿いながら撫でる。子供を褒めるとかあやすとかそういった類のものではなく、ただ愛するための物だった。
そして撫でられている側の響子はというと――
(気持ちいい……)
すっかり陶酔したかのように沙紀の手の温もりを素直に享受していた。沙紀からは当然見えないが表情を惚けさせただただ幸福に酔いしれる。
「…………」
沙紀の方も自身の身体に包まれている響子の体温と良い香りを感じながら、慈しむように撫で続けているとふらふらと揺れている彼女のサイドテールが目についた。
彼女のチャームポイントの一つともいえるそれは沙紀の撫でるリズムに合わせてゆらゆらと小さく揺れていた。だが、沙紀の注目した部分はその髪ではなくその裏側にチラチラと見える首筋だった。
別段フェチズムを持っているわけではない。ただ、今の沙紀から見たそこは何故かひどくそそられるものだった。そしてその禁忌とも言えるような境界に伸びる手を抑えられるような理性を彼女は今持ち合わせていなかった。
撫でていた動作から流れるように髪の裏側に隠れていたそこを沙紀は人差し指で、弱く擽るようにそこを擦った。
「ひゃ、んっ!」
その瞬間、聞いたことのない声をあげて響子が跳ねた。
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