27:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 17:22:40.69 ID:cl3Dxc3O0
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「くふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜うぁ……あぁ……」
朝のホームルームが終わるなり、小さな口をめいっぱい開けてあくびした人がいた。
それはボクの隣。
めいめい着席して教科書出したり、教室外にダベりに行ったりするクラスの中で、彼女だけが突っ立ったままいつまでも大あくびを繰り返している。
それが途切れると、今度は両目をゴシゴシこする。さすがに今は眼帯はしていない。
「……はふぅ」
最後にもうひとつ小さなあくびが漏れたところで、ようやく、じっと見続けているボクの存在に気付く。
「な……うぁ? なんだよ、ウチの顔、なんかついてるか?」
真っ赤になった目で聞いてくる早坂。付いてるも何も。
「夜更かししたの? 仕事?」
「んー……そうだなー。まあ、そんなトコだ」
ボクの質問に、ぐったりと座り込みながら早坂は答えた。目をつむって今にも寝そうだ。
途切れそうな会話をどうにかしてつなごうとする。
「大変なんだね。でも、最近楽しそうでよかったよ」
それを言った瞬間、がばっと早坂は起き上がってまくしたてる。
「た、楽しそう?! ウチは別に……その……」
でもだんだんと尻すぼみになっていった。ウソでも楽しくない、とは言いたくないらしい。
「だいたい、なんでウチが楽しそうだとオマエがイイんだよっ?!」
なんとか言い返そうとしてくる早坂は可愛くてしかたない。
「ほら、転校してきたばっかりの時、『またすぐ地元に帰るかもだけどな』って言ってたじゃん」
最初の頃は警戒心剥き出しで、誰とも仲良くなろうとしなかった早坂は、今、早坂なりのやり方で他のクラスメイトとも打ち解けようとしている。
加えてみんなが彼女の扱いに慣れてきたというのもあるだろうけれど、やっぱり……好きな相手が孤立しているのは、見ていてつらかった。
「もう、帰るって言わないんでしょ?」
そこまで言うと、彼女はどうしてか少し悔しそうにうなずく。
「ウチ……大事なモノが出来たんだ。だから、もう帰るっては言わない」
その大事なモノは何か分からないけれど。いつか、その中のひとつになれたらいいなと思う。
もちろん、彼女は表立って認めたりしないだろうけれど。
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