モバP「誰にでも見せる顔」
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4:名無しNIPPER[saga]
2017/05/07(日) 22:30:16.74 ID:9egm5Et60



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 たまには寝坊もしてみるもんだ。
 
 こうして前川さんと同じ電車に乗れた幸せを噛みしめ、つくづくそう思う。

 彼女は駅のホームに、普通の女子高校生の様にして居た。

 というか、次の急行待ちの列に並んだら、たまたまそこが彼女の後ろだった。

 斜め後方から、そっと横顔を覗き込む。眼鏡と、大きめのマスク。普通なら正面から見たってそうそう気付くもんじゃない。クラスメイトだからこそ分かる立ち姿だった。

 声をかけた瞬間の、びっくりした猫みたいな表情はマスク越しでも分かった。


 電車通学っていうのはなんとなく知っていたけど、いつも通りの時間じゃ一度も会ったこと無かったから。まあ普段は電車も大混雑でそれどころじゃないってのもあるし。

 いつもこの電車なの? ってさりげなく聞いたら、今日は早く来るつもりだったけど、準備に手間取っていたら結局遅れたとのこと。

 そんなこと言って寝坊したんでしょうって言ったら、照れくさそうにしてた。

 目の下に薄いクマがあったから、夜更かしでもしたんでしょって決めつけたら、まーそんなところって言って恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 でも彼女はもう学校に連絡して、お咎め無しにしてもらったらしい。何それずるい。

 まあ仕方ないんだろう。どうせ仕事がらみだろうし。

 だって押しも押されぬ人気アイドルなんだから。

 それにしてもテレビでの猫キャラの印象が強すぎるせいか、こうして普通にしていると他の乗客は全然彼女に気が付かないようだった。
 
 そのことを言うとすごい複雑そうな表情をしたもんだから、俺は思わず吹きだしてしまった。

 すると彼女はちょっと拗ねたようにして、まあまあ、なんて言ってなだめて。
 
 そして、どちらともなく笑いあった。


 自分としてはごく自然にやりおおせたつもりだ。

 内心、心臓バクバクで、嬉しさで叫び出しそうなのをずっとこらえてた。

 あの前川みくと! 

 クラスじゃなんとなく距離を取っているような感じだけど、案外普通に、イイ感じに喋れるじゃん!

 そんな彼女を――学校までのほんの短い時間だけど――俺だけが独占できる幸せを噛みしめていた。 






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