106:ゲリラ再開[saga]
2017/07/05(水) 20:51:23.14 ID:LIuDhMW60
〜【絵里が奇異と遭遇した同時日】〜
西木野真姫は青い海に居た
照り付ける紫外線はビーチパラソルで遮り、潮風が麦わら帽子についた
ハイビスカスの花弁を揺らす
折り畳み式のビーチベット、その傍らには氷の入った清涼飲料がある
黄色と白の縦縞模様のストロー、柑橘類の厚い外側を砂糖漬けにしたモノ
所謂"ピール"をつけたモノが書きかけの作曲ノートのすぐ横にあった
さて、彼女のファンを名乗る者が居るならば彼女はトマトを
こよなく愛するとすぐに答えるだろう
そして電子端末のプロフィール画面にみかんが嫌いと書いていることも
グラスの縁に見栄えだけを気にして添えられた夏みかんのピールは
別に彼女が好き嫌いを克服したからという訳では無い
だというにも関わらず聡明な彼女が態々自分の嫌いな食べ物を
猛暑日の砂浜で涼を取る為のお飾りとして注文<オーダー>したのにも
深い理由があった訳でも無いのだ
此処は彼女の"夢"なのだから
だから敢えて何らかの理由を付け加えろというのならば
食材の無駄遣いも何も考えることなく見栄えだけの為に添えただけだろう
μ'sメンバーとの思い出がある、あの別荘の浜辺
新幹線で乗り継いで、線路の上を鉄の揺り籠に揺られ、都会の喧騒から
解放された彼女は夢の中で静かに寝息を立てていた
真姫「…んっ…ぁ」パチッ
赤毛の少女は目を開く、サングラスの感覚に慣れていた彼女は
パラソルの色彩豊かな布地を見つめて2、3回、ぱちりぱちりと瞬きを行う
すぐ傍の作曲ノートの上にサングラスを置いた利き手を天に翳して
意味も無く空気を握る
ぐー、ぱー!と握って開いてを繰り返す、目線のずっと先にある
9つ色の傘布でも掴もうとするように
明晰夢、とは違うだろう、味覚も無いし、本当は熱くも眩しくも無い
ただ、"夢"を見据える真姫の脳が、精神が、そう錯覚しているだけだ
カラリとした湿度を感じない非現実的な空間、アクアマリンの波打ち際
美しい景色を見物にグラスを手に取り、少女…西木野真姫は
何か嫌な事から逃げ切ったような笑みで夢想の自分は微笑んでいた
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