1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/17(土) 06:33:34.86 ID:ND0MDh2u0
ガレージがある。
車があるわけではない。
そこにミニバンでも停めてあれば、俺は幾分か、気が休まるのかもしれない。
そのガレージにあるものといえば、よく分からん薬品の壜、無水エタノールの缶、その空き缶に詰められたレモンの種、よく分からん木、飲みさしのコカコーラ、ピザの空き箱、タバスコソースの空き壜、ミルク石鹸、ベット・ミドラーのアルバム……。
ゴミなのかどうか、判断の覚束ないものばかりだ。
それは、それらの所有者である一ノ瀬志希本人ですら判断できない。
彼女の対象への興味は、まるでザッピングをするかのように転々とし、放浪、漂流、しばしば行方知れずとなるのが常である。
そんなもんだから、彼女の所有物のいる、いらないの区別は、俺の担当業務となっている。
お片付け担当。なんと小学校のクラス当番然とした肩書き。
しかしながら、その業務は小学校のそれとはワケが違う。
初めのころは、必要なさそうなものを適当に選んで捨てていた。
後日、メモ用紙に書いた捨てたもののリストを志希に渡したところ、大層しょげた顔をしながら、
「そっか……あれ、捨てちゃったのか……」
などと口漏らし、
「海を見てくる」
と言ったきり、二日も帰ってこなかった。
今でも覚えている。及川牧場から持ってきた牛の糞。あれを捨てたのがまずかったらしい。
牛の糞からバニリンとかいう香料が抽出でき、及川牧場のソレは他のアレとは段違いの香りらしい。
分かるか、そんなもん。
13Res/9.91 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20