小林オペラ「この裁判…絶対に逆転して見せる!」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/09(水) 18:41:03.93 ID:Wu3x7vqR0
紅白テントの下で、大勢の観客が一糸に一輪車でまたがる少女に熱狂し、光り輝く幻の人影に幻惑されながら全員が一点を見つめる。
虎を従わせる少女、関節がどんな方向にも自由自在に曲がる少女。針の先の上でも平らな地面に立つが如く豪人な平衡感覚を持つ少女。
そして、その中心には球体に入った全身が漆黒を纏う団長と思わしき少女が居た。
彼女達はサーカス団。トイズを用いて人々を幻惑し、熱狂させるエンターテナーと呼ばれる者達である。
球体の少女は、球体からすり抜けるように現れると、身にまといし黒きオーラのように迫力のある声で彼女らを囲む観客に宣言した。
「今、再び我らの庭の光が闇に囲われ、光が打ち勝つ時、諸君らは奇跡の少女を見るであろう!」
漆黒の少女の言葉は、誰ひとりとして意味を理解しようとはしていない。だが、誰もが少女の言葉に熱狂し歓声をあげた。
少女が微笑むと、テントの中の証明が消え、闇が広がる。
大きな音と、機械が軋む音。そして、二人の少女の悲鳴。
何事かと騒ぐ者が現れる度、騒ぎが大きくなる。
そして、光が闇に打ち勝ち、テントの中を照らした後の光景は――
機械に魅惑な光を発す大きな”矢”が突き刺さり、中に居た奇跡の少女は
機械の歯車と起動部の歯車に巻き込まれ、破裂した水風船のように皮が伸び中身が流れ出て臓物が歯車を巻きつける。
少女達は叫ぶ。漆黒の少女はその光景を目を見開かせ硬直する。
その歯車の前には、二人の少女が立っていた。
一人は”弓”を持ち、一人は”盾”を持っていた。
二人の全身は血と肉片にまみれていて、まるで歯車の臓物の中から現れたようであった……。
外伝【悲劇と意志から生まれし戦士達】
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