【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 22:01:13.10 ID:u1xI7N2CO
 その日から兎角と千足の秘密の逢瀬が始まった。

 場所は朝のシャワー室。条件はどちらかが欲求不満で且つ他に人がいないときのみ。
 初めの数回こそ互いに遠慮して週に一回もない逢瀬であったが、回数を重ねる内に慣れてきて週に三回四回を越えることも珍しくなくなった。

 もちろん晴や柩との関係も続いている。そこに罪悪感を感じないわけではなかったが、ではこの快楽を手放せるかと訊かれれば首を縦には振れなかった。
 二人は未だに晴や柩の前で淫らな姿を見せるのに抵抗があった。理由は都合のいい免罪符となった。

 また罪悪感に潰されずに行為を続けられているもう一つの理由に、互いに相手の性欲処理に徹していたからという点もあった。

 二人は下手に言葉を紡がない。シャワー室に入る前にちらと相手を見ればそれでよかった。
 それだけで相手は察し、黙ってシャワー室についてきて、まるで道具のように振る舞ってくれる。
 ムードを高めるようなキスもしない。ただシンプルに体の敏感なところを刺激して溜まっていたものを我慢できるレベルまで発散させてやるだけであった。

 この外科処置じみた行為は毎回十分もかからずに終わっていた。
 まさに『処理』と言える行為である。

 だから二人は心の奥で「これは浮気ではない」と勝手に言い訳ができた。
 シャワー室を出れば二人はまた『ただのクラスメイト』に戻る。
 互いに晴のそば、柩のそばに行き、それぞれ学校生活を過ごす。
 あくまでシャワー室だけが歪んだイレギュラーな空間。二人はそう言い訳を重ねながら逢瀬を重ねた。

 しかし二人は侮っていた。性欲の恐ろしさを。そしてその前では少女の理性など何の役にもたたないということを。


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