【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 22:05:52.79 ID:u1xI7N2CO
 運命の日は10号室を使うようになってから一月ほどした頃に訪れた。

 その日も兎角と千足の二人は互いに快楽をむさぼりあっていた。
 開始から既に二十分ほど経過しており体は流れる汗で満遍なく濡れていた。小さなもしくは中ほどの絶頂回数は二人合わせて十は越えていたが大きな絶頂は今日はまだなかった。

 二人はベッドの上で膝立ちで向かい合い抱き合っていた。左手で互いの体を支えながら右手で互いの性器を刺激しあう。何度か経験を重ねた結果、これが二人にとって一番興奮する体位であった。
 頭のすぐ横には相手の頭があり、荒い息遣いが聞こえてくる。胸は互いに押し付けられ変形しそれは刺激に変わる。汗は天然のローションで背中に回る相手の左手すら極上の愛撫に変わる。右手は計算などなく本能のままに相手を蹂躙する。まるで自分の指が相手を気持ちよくしないことなど想像もしていないほどに。
 そして今まさにすべての刺激が一本となり一つの大きな絶頂になろうとしているところであった。

「あ、東っ……!」

「……生田、目っ!」

 確認するかのように一度だけ相手の名を呼ぶ。
 もう指をあと一掻きでもすれば絶頂になろうかというまさにその時、10号室の扉が開かれた。

「千足、さん……」

「兎角、さん……何を、しているの……?」

 それはここでは絶対に聞こえてはいけない声だった。


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