【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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29:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 22:39:28.58 ID:u1xI7N2CO
 木曜の朝、晴はここ数日通り授業開始ギリギリに教室に入ってきた。
 ただいつもと異なり授業が始まるとすぐに兎角にメールを送ってきた。文面は一言、今日も部屋に行きます。兎角も一言だけ、「わかった」とだけ返した。休み時間、晴は教室に残っていたが兎角は無理には話しかけなかった。
 そして放課後。兎角は昨日と同じくゆっくりと1号室に戻った。
 今日は兎角が帰ってから五分としない内に扉がノックされた。

 今日は兎角が喋るよりも先に晴が口を開いた。

「兎角さん」

 何かしらの決心を固めた晴の表情に兎角が息をのむ。

「晴は……兎角さんを許してあげたい、って思ってます……」

 兎角がピクリと反応する。
 一見すると思わず喜びたくなるような言葉であったが、許してあげたいと思っている、その言葉の微妙なニュアンスがわからない兎角ではない。兎角は静かに続きを待った。

「ただし……一つ条件があります。いえ、『条件』と言うよりも『誠意を見せてほしい』とでも言った方がいいかもしれませんね」

 再度息をのみ兎角が口を開く。

「何でも言ってくれ」

 それを聞いて晴は少しばかり表情の緊張を解きわずかばかりの笑顔を見せた。

「今度の土曜日、一日デートに付き合ってください。そしてそのとき、晴の言うことは何でも聞いてください」


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