【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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37:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 23:42:16.77 ID:u1xI7N2CO
呆然とする兎角の横で晴がおもむろに立ち上がった。
「映画面白かったですねー。次どこにいきましょうか?」
しかし今の兎角にそれに返事をする余裕はなかった。
代わりにそれに返事をしたのは数席離れた柩であった。
「そうですねー……あれ?どうしましたか、千足さん。気分が悪いみたいですけれど」
兎角は二人の方を見た。
立ち上がっている柩は満面の笑みを見せている。対する千足は座ったままで、信じられないものを見ているかのような目で柩を見つめていた。
直感で兎角は悟った。千足もまたイかせてもらえなかったということに。
しかしなぜ?偶然ではないのは明らかである。晴と柩は互いに意図を持って相手をイかせないようにしていた。しかし理由がわからない。罰のつもりなのだろうか。確かに罰としては効果はあるが、ここまで手の込んだことをするだろうか。それになんの意味があるというのか。
混乱する兎角を他所に晴と柩は小芝居を続ける。
「あれ?兎角さんも気分が悪いの?ぼうっとしてるけど」
「おや、大変ですね。今日は無理せず帰った方がいいかもしれませんね」
「そうだね。バスだと時間がかかるからタクシーで帰ろうか?」
「それがいいと思います。ほら、千足さん。立てますか?」
二人は兎角と千足を立ち上がらせて出口へと向かう。
途中兎角は千足と目があった。言葉こそ交わさなかったが互いの状況は理解できた。しかしその理由とこれから何が起こるかは見当がつかなかった。二人はただふらふらと力なく晴と柩の後を追う。
映画館を出ると晴はすぐにタクシーを捕まえた。兎角と千足は考える間も与えられずにそれに乗せられた。
「ミョウジョウ学園まで」
タクシーはすぐに発車した。
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