31: ◆wOrB4QIvCI[sage]
2017/11/20(月) 15:14:45.27 ID:qVjd7KIq0
声にならない呻きを発する絵里。両腕で頭をぐしゃぐしゃにかきむしり、ぶちぶちといった小さい音が、微かに聞こえました。
床には一瞬雷光に照らされたブロンドの髪の毛。
――雨は、不自然なまでに止んでいた。
ぶちぶちとその手で髪の毛を引きちぎりながら、絵里は頭をぐわんぐわんと動かしました。
海未「絵里!!」
異常だ。
絵里の手を掴んで、振り返らせる。
海未「――ひ……っ」
もうそれは、絵里ではありませんでした。
闇夜に煌めく鮮やかなブロンドの髪の毛、白磁のようなきめ細かい白い肌、高い鼻、長い睫毛、小さな唇。
誰しもが羨む美貌を持った彼女。
絵里「ギ……が、っ……ぃ」
しかし、その青かったはずの目は、白目になりかわり、微かに上に見えている青い瞳はギョロギョロと何かを探してのたうちまわっています。
低く地鳴りのような声、ギョロギョロと泳ぐ白目、誰が見ても異常な光景が目の前で起こっていました。
絵里の腕を掴んだ私の左腕を、万力の力で持って掴みかえす絵里。
絵里「っぅ……ぐっぁ、ひっィっ」
海未「っぅ……」
逃げようと、重心を後ろにやっても、まるで動かない。
冷静な判断はとうに出来なくなり、息を吸うのが苦しい。背中を伝う汗はどんどんと量を増していく。
海未「え、り」
海未「はっ……はっっっ」
後ろに倒れこむ。それでもなお、絵里の腕は離れない。私を追うように前かがみに倒れこみ、目と鼻の先に、異形の白眼。
声がでない。
絵里「……ぁ」
もうだめだ。と、何がだめなのか殺されるのか何かされるのか、それすらもわからずに半ば諦めかけていた私の胸に……絵里が倒れこみました。
海未「……っ」
万力だった腕は解けている。
一瞬静まり返った空間に、途端に雨が降ってきたのか打ち付ける音が響いてきます。
バッ…
海未「でんき、でんき……」パチッ
海未「……ごく……」
照明を点けて、絵里の姿を視界に捉えると……。そこには口から泡を吹きながら四肢を痙攣させている絵里の姿がありました。
海未「絵里!!!」
亜里沙「――ど、どうかしましたか!?」
海未「き、救急車です!! 亜里沙!」
亜里沙「え、おねえちゃ……ひっ……」
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