イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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58: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2018/02/03(土) 02:52:55.39 ID:ESolOgJe0
…どこかの洞窟…

提督「むぅ…ん…」ずきずきする頭を抱え、うっすらと目を開けた提督…辺りは磯臭い湿った洞窟で、雫が滴るような岩が天井を形作り、湿っぽい粗末なマットレスを敷いた素っ気ないパイプベッドの上に寝かされていた……

タリスマン「おや、お目覚めか…」

提督「ええ。どうやらお客様としてお招きされたようね……招待状をもらっていたら、ちゃんとドレスを着てきたのだけど…」

タリスマン「冗談が言えるなら大丈夫だろう…私の後についてこい、陛下がPOW(捕虜)の話を聞きたいそうだからな」

提督「分かったわ…その前に化粧直しをさせてもらえる?」

タリスマン「髪をとかしたいならそこに櫛がある……言っておくがその櫛でどうこうできるほどこちらはひ弱ではないから、無駄な抵抗はするな」

提督「分かってるわ…まだ首が痛いもの……」どこかから流れ着きでもしたのか、柄が半分ほど折れているプラスチックの櫛で髪をとかす…鏡はないので仕方なく、岩のくぼみの水たまりで身づくろい出来たかを確かめる……

タリスマン「もういいだろう…」

提督「はいはい…全く、英国人はせっかちなのね……」提督は「深海棲艦由来」のねばねばした粘液が付いたナイトガウンを見おろして肩をすくめた…


…洞窟の廊下は意外と乾いた砂で出来ていて、所々に拾い物らしいランタンやランプが置いてある……時々行きかう深海棲艦はどれもセーラー服や英国風のドレススタイルに見えなくもない格好をしていて、色はいずれもイギリス地中海艦隊の迷彩にそっくりな、白っぽい地色に明るい灰白色と薄いグリーンの迷彩をしている…が、よく見ると地の色はすっかり白化したサンゴや波に洗われてしまった貝殻、灰色の部分は牡蠣殻やフジツボ、グリーンの部分はぬめぬめした藻類が張りついていて、まるで幽霊船に取り込まれ呪われた海賊たちのように見える……しばらくタリスマンに連れられて歩くと、急に天井の高い場所に出た…


タリスマン「陛下、例の捕虜を連れてきました」

女性の声「よろしい…トーベイ、タリスマン……ご苦労であったな」

提督「…」周囲にずらりと並んだ深海棲艦たちに多少緊張感を覚えつつも提督がじっと見つめると、広い空間の一番奥に岩棚が削れてできた玉座のような場所があり、そこに宝冠をかぶった深海棲艦が座っているのが見えた……と、その深海棲艦が座ったままラインダンスのように脚を上げると、ぬめっとした脚から何かを外した……

宝冠の深海棲艦「これをタリスマン、トーベイに与えよ…そなたらの働きに対する感謝の念であると…」お付きらしい深海棲艦にそれを渡し、そのお付きが二人に仰々しく授ける…

タリスマン「…身に余る光栄です、陛下」

トーベイ「これからも陛下と大英帝国のために、身命を尽くしてまいります…」

提督「…いったい何かしら……って、ガーターベルト…?」(もとよりガーター勲章はそう言う経緯で生まれたって言うけれど…ちょっと時代錯誤じゃないかしら)

深海棲艦たち「「ジョージ国王陛下、万歳!大英帝国に栄光あれ!」」

宝冠の深海棲艦「ありがとう、皆……ところで誰か、その捕虜を余の近くに連れてまいれ…話が聞きたい」

深海棲艦「さぁ、陛下の前へ…」大柄な深海棲艦に軽く腕をつかまれ、丁寧ながら否応なしに歩かされる……近くで見ると、岩でできた「玉座」には豪奢なクッションが置かれ、真っ白な深海棲艦の宝冠には綺麗な珊瑚珠(サンゴを磨いたもの…綺麗な紅や欧州で珍重されるピンク色がある)や真珠、小粒ながら見事なダイヤモンドがちりばめてある…

提督「………」冷たい目でじっと見られ、このままマストにでも吊るされるのかと思うとぞっとして、すくみあがりそうになる提督…

宝冠の深海棲艦「さて……」

提督「…ごくっ」

宝冠の深海棲艦「…まずは余の部下が手荒な真似をしたことをお詫びいたしましょう、カンピオーニ少将。…余はクィーン・エリザベスです」

提督「…その、女王陛下……そちらの招待の方法にはいささか驚きましたが…まだ無事でおりますから」

クィーン・エリザベス「…イタリアの提督に指揮能力があるかは存じませんが、少なくともユーモアのセンスがあるようですね」

提督「…お褒めいただき光栄です……それで、私のような一介の少将にどのようなご用でしょうか」

クィーン・エリザベス「あぁ…それはですね……」

………




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