イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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908: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/01/14(日) 00:58:06.48 ID:atQrelcs0
…午前中…

クラウディア「そういえばフランカ、クリスマスカードは書いた?」

提督「ええ。海軍関係の知り合いにはタラントの管区司令部で軍事郵便にして投函してきたわ……軍事郵便だから相手の所属と名前さえ分かっていればどこにでも届くし、軍の知り合い以外に出す分もついでに書いて、タラント市内の郵便ポストに投函しておいたわ」

クラウディア「そう、なら大丈夫ね」

提督「ええ。お母さまは?」

クラウディア「私は親戚だとか、付き合いのあったデザイナーやモデルの知り合いくらいかしら」

提督「つまり例年通りたくさんっていうことね」

クラウディア「そうでもないわ。私は半ば引退しているようなものだから、最近はそれなりに親しい人としかクリスマスカードのやり取りはしないし……」

シルヴィア「よく言うわ……この間「書き終わったクリスマスカードを投函したい」って言うから郵便局まで車を出したけれど、たっぷり五十枚はあったでしょう」

クラウディア「そうは言うけれど、あれでも現役の頃よりは減っているのは貴女が一番よく知っているじゃない」

シルヴィア「まぁね」

クラウディア「でしょう? それからフランカのクリスマスプレゼントはそこにちゃーんと用意してあるから、当日は楽しみにしていてちょうだいね♪」

シルヴィア「私からも用意してあるからね」そういって軽く頭を動かしてみせた先、可愛らしいクリスマスツリーの下には確かに「フランカへ」とカードのついた包みが二つおいてある……

提督「いつもありがと。お母さま、おばさま」

クラウディア「どういたしまして……ところでフランカ、あなたは鎮守府の女の子たちにプレゼントを用意してあげたの?」

提督「ええ、もちろん。 おかげで冬の賞与があらかた吹き飛んだわ……」艦娘たちの喜ぶ表情を想像し、それから通帳から引き出した額のことを考えて、思わず苦笑いを浮かべる提督……

シルヴィア「フランカは良い子だね」

クラウディア「ええ、だって私たちの娘だもの♪」

提督「もう、やめてよ……///」

シルヴィア「それにしてもあれだけの娘たちにプレゼントを買ったのなら、相当な大荷物になったんじゃない?」

提督「ええ、まるで絵本の泥棒みたいに袋を担いで鎮守府へ運び込んだわ」

…さかのぼって…

提督「ただいまー……ふぅ、ふ……ぅ」

デルフィーノ「お帰りなさい、提督……って、その荷物は一体なんですか?」

提督「それもちろん、みんなへのクリスマスプレゼントよ……これでもまだ半分で、残りは車の中にあるの」

デルフィーノ「じゃあ私も手伝いますっ」

提督「いいのいいの……私がみんなに買ってきたプレゼントだもの、最後まで私が運ばないとね」

ルチア「ワンワンッ♪」帰ってきた提督を見て、じゃれつきたそうに尻尾を振って足元を駆け回っている……

提督「あぁ、ルチア。お散歩は後で連れて行ってあげるから、今は大人しくしていてちょうだいね……お座り」

ルチア「ワフッ…♪」きちんとお座りをして、床の大理石を尻尾でぱたぱたと掃いている……

…廊下…

提督「ふぅ……ひぃ……みんな、ちょっと道を空けて」

トリチェリ「すごい大荷物ですね」

エウジェニオ「まるで夜逃げでもするみたいじゃない?」

提督「言ってくれるわね……よいしょ」執務室の前にたどり着くと、大きな袋をそーっと下ろした……

エウジェニオ「……これからプレゼントにつけるカードを書くのね?」

提督「ご名答……エウジェニオ、貴女は?」

エウジェニオ「私はもう済ませちゃったわ……提督もそういう時は化粧品とか下着みたいに軽いものを選ぶほうが楽よ?」

提督「それは私も知っているけれど、みんなの好みを考えたらそうも言っていられなくて」

エウジェニオ「ふふ、一人ひとりに合わせて好きそうなものを選んでプレゼントするなんて提督らしいわね……大抵の鎮守府じゃあ出来合いになっているお菓子の詰め合わせが良いところだって聞くわよ?」

提督「そうできないのが私の指揮官としての悪いところよ……貴女たちが可愛いから、つい恋人同士みたいな気分になって甘やかしちゃう♪」

エウジェニオ「恋多き女性だものね?」

提督「それは貴女もでしょ、エウジェニオ♪」


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