734:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/03/05(月) 17:09:09.21 ID:uxWy6IBu0
「―ちょっとぉ!あなた!起きなさいよ!」
「んー…」
耳元できゃんきゃんと騒ぐ甲高い声でアリスは目覚めた。
「ふんっ。こんな硬い床でよくぐーすか寝られるわねっ。無神経なんてもんじゃないわっ」
イライラしているのか、棘のある口調で声の主は毒づいた。
「おはよー…って」
うとうとした瞼をこすりながら起き上がるアリス。
ぼやけた視界の中でどこかで見たような紫髪の少女がこちらを見下ろしている。
「あれ…だれだっけ」
起き抜けでボーっとしているのかいつもどおりなのか、小首をかしげてみせるアリス。
「さっき戦ったばかりの相手の顔くらい覚えてなさいな。ウェル…毒使いのウェルよ」
「あ、おもいだした。さっきのしょくしゅのひとだ」
ぱんぱんと黒装束のほこりをはらいながらアリスも立ち上がる…が、少し足元がふらついている。
まだ身体に毒の効果が残っているようでまともに戦える状態ではない…が、目の前の少女も今は戦う意思はないようだ。
ウェルもまた、戦いのダメージが残っているのかもしれない。
「ところで、クチナと、ミルキィは…」
「あなたの仲間? ここにはいないわ。元の場所に置き去りよ」
「おきざり…え、ここってどこ?」
「こっちが聞きたいわよ!貴方がヘンなアイテムを使ったせいでこんなとこに跳ばされたんじゃない!」
アリスのマイペースぶりにウェルはイライラしっぱなしだ。
そんな彼女のイライラに気づいているのかいないのか、やはり小首をかしげてアリスは言う。
「…わたしにもわかんない。あのときみんなをたすけなきゃっておもったけど…それだけ。なにをしたかはぜんぜんおぼえてない」
「はぁ?覚えてないって無責任な…そのカギを使って何かやってたじゃない」
「カギ? あ、これ…」
言われてやっと、アリスはウェストポーチにしまっていたはずの銀の鍵が自分の手に握られていることに気が付いた。
普段は奇怪な光を放つ銀の鍵だが、宝箱などを開いて力を使った際にはその光はしばらく薄れてしまう。
今のカギの状態はまさしく力を使ったあとのようだ。しばらくは使用不可能だろう。
「はん。結局元の場所に戻るのに貴方の力はアテにならないってことね」
アリスが頼りにならないとわかるとウェルは頭上で指をならし、
「…『オープンザワープホール』」
と呟いた。しかし何も起こらない。
「はぁ…」
ウェルはがくりと肩を落として深いため息をついた。
(やっぱりワープホールも使えないかぁ。というか魔力のコントロールすらできないし。あぁ、今日は厄日だぁ)
「はぁ…しょうがない。自力で帰り道を探すわ」
「いっちゃうの?」
とぼとぼと、頼りない足取りで去っていこうとするウェルに声をかけるアリス。
「なによ。まさか戦う気ぃ? 貴方だってまだそんなコンディションじゃないでしょう」
「うん、わたしも なかまをさがさなきゃ」
「そ。じゃあねぇ」
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