875:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/02/06(水) 23:57:59.22 ID:Qfv9kVYT0
産卵蟲の魔力を吸い上げたのか、魔力球の輝きがまた少し大きくなった。
「よし、もう少しで魔力球も完成しそうだ。ミルキィ、お前の活躍のお陰だな!」
「あ、あはは…ソレハヨカッタネー」
ツバキの称賛の言葉に、しかしミルキィは乾いた笑みを返す。
出し惜しみはしないと豪語したものの、流石に蟲相手に1000万エイン相当の魔石消費は痛かったようである。
だがそれ以上に…
暗く落ち込んでいるのがクチナだった。
(何やってるんだろう、私…みんなの足を引っ張ってばかりで…)
「くーちーなー?」
「はっ、はぃぃ!?」
急にミルキィに詰め寄られて、クチナは身を縮こませる。
「もう、そりゃ私だって一千万はもったいないと思うけど。十分取り返せる額だし心配ないよ。クチナが気にするようなことじゃないって」
ミスしたクチナを気遣ってなのか、明るく接するミルキィ。
「クチナ、あの手の失敗は私もしょっちゅうやっている。その度にギンガの手を煩わせてしまっているが、人間同士で生きていくというのはそういうものだ。お前も私たちが失敗した時は助けてくれればいい」
「そういうこと。お互い様ってやつ。それでいいじゃん。ね」
「ツバキ…ミルキィ」
ツバキの度量の大きさにはいつも救われてばかりだ。そして今は、ミルキィにも。
「まぁ、クチナが実は結構ドジっ子だってのはなんとなくわかってるしね!」
「ははは。確かに、今更だな!」
「ひどっ!?」
笑顔の二人とのやり取りに、クチナの気持ちは少し落ち着いてきた。
(そう…ね。こんなことで落ち込んでるようじゃダメ)
クチナはグッと唇をかみしめて、顔を上げた。
(私は…頑張らないといけないんだ)
決意を新たにしたその表情には、どこか悲壮な色が滲んでいた。
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