91:名無しNIPPER[saga]
2018/02/03(土) 22:47:04.59 ID:N3n9cBeCO
「……ごめん、イムヤ。全部、言うよ。愛宕と前に約束したことがあっーーーー
「! 」
「! 」
鳴り響くのは、悪鬼の咆哮か。
それとも大蛇が唆す悪魔の果実か。
『ふん……まぁまぁ、美味しいじゃない』
『陸軍も海軍もどうでもいいであります』
『……あなたのこと、ずっと見てる』
『……………………約束、したでしょう? 』
「馬鹿男! 指示出しなさいな! 」
弾かれたように、蝶番が外れそうな程に、そんな扉も気にならない。
甲高いサイレンの音は無情に聴こえた。
「あ、あぁ! ……行けるか? 」
「当然。ただの無能を好きになる単なる雌豚になったつもり、ないんだから」
敵襲、なんてものでは片付けられない。
敵が誰だかなんて知らない。
俺が何か直接的にダメージを与えるなんて、無理だ。
けれど……殺ってやる。消し炭にしてやる。
覚悟を決めて運命を見据えた女に、一人の男が応えようとしていたのだ。
無粋、まったくもって空気が読めない。
故に、存在する価値など皆無。
「愛宕、 お前は今すぐ出ろ! 陸軍の航空隊と近隣の戦力が来るまで耐えておけ! 」
「しっかたないわねぇ〜 」
「あきつ丸! 愛宕のカバーを頼む。お前はイムヤが全力で守る! 」
「ッ、承知ッ」
「Roma! 」
「あぁん? 」
「存分に、殺れ」
「当然。……逃げておいた方がいいんじゃない? 」
「抜かせ」
一瞥の先には半裸に傷だらけの男女が映っただろう。
しかし、構わない。
俺たちは戦うことを忘れた雌豚でも、怠惰な老犬でもない。
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