9: ◆3wmi.HUQIo
2018/02/18(日) 23:31:46.56 ID:edeqr3Xo0
「…」
沈黙がこの狭い部屋を占めていた。
音が切り取られた訳ではない。
その証拠に、耳を澄ませれば、いろんな音が見つかる。
例えば、彼女が小さく身じろぎをする度にシーツの布ズレの音。
淀んだ空気を吐き出し続けるエアコンの低く鈍い機械音。
それに、遠くからの喧騒なんかも、この部屋には運ばれてきている。
多種多様。
雑多といっても差し支えないほど、音に溢れている。
なのに、その中に彼女の声はなく。
なのに、その中に俺の声はない。
いや。
だからこそ、こんなに色々な音が見つけられるのか。
ただただ二人とも押し黙っていた、そのせいだ。
「…」
沈黙。
それが占めるこの部屋は、決して音が切り取られた訳では無い。
けれどその代わり。
喧騒の止まないこの都市からは、取り残されているように感じた。
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