ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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587: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2021/12/25(土) 00:19:38.12 ID:/SQ0fewr0
…数日後…

7「Dから報告が届いております」

L「そうか、見せてくれ」

7「はい」

L「どれ……『海の中には小さな魚が十二匹、投網を打ったがまだ一匹隠れていた』か」

7「これは教皇庁から送り込まれた例の「使徒」のことですね」

(※魚…古代ローマなどキリスト教が禁止されていたころは祈りの言葉の頭文字をつなげた合い言葉「イクトゥス(魚)」がキリスト教徒のシンボルになっていた)

L「うむ……連中の工作班とは別に指揮を執る上級エージェントが一人いたと言うことだな」

7「……どうなさいますか?」

L「このままおめおめと逃がすわけにもいくまいが、かといってこちらが排除を実行して王国に我が方のエージェントがいることを教えてやるのは面白くない……我々にとって一番好ましいのは王国側がこの『十三人目の使徒』を始末してくれることなのだが」

7「あちらも同じように考えていると?」

L「恐らくはな……誰が好き好んで火の粉をかぶりたいと思うかね?」

7「しかしこのままお互いに手をこまねいていては……」

L「魚は網をすり抜けてしまうな……仕方がない、例の泳がせているダブル・クロス(二重スパイ)に情報を流してやれ。 これで向こうも『餌を付けた釣り竿を渡してやるからそちらで釣り上げろ』という意味だと理解するだろう」

7「果たして王国情報部はそれに乗ってくれるでしょうか?」

L「連中とてリボンまでかけてプレゼントしてやればそう嫌な顔はせんだろう……それにバチカンのエージェントに「資産」(プロダクト)を持ち帰られて困るのはあちらの方だ、我々ではない」

7「おっしゃるとおりですね」

L「とにかくDを始め「プリンシパル」にはよくやったと伝えてやれ……ウィンドモア家と良好な関係が築けたことも、ケイバーライト技術の情報を手に入れると言う面ではひとつの成果だ」

7「はい」

…さらに数日後・ロンドン港…

乗船係「失礼いたします、券を拝見いたします」

地味な装いの女性(バチカンのエージェント)「ええ」

乗船係「はい、確かに。第二デッキ左舷側、二等船室の3Aです」

エージェント「どうも」

乗船係「では次の方」

…ドーヴァー海峡…

エージェント「……ふぅ」


…ドーバー海峡を渡ってフランス側にあるアルビオン王国の飛び地、ノルマンディ地方に向けて快調な航海を続けている客船……二本煙突からは石炭の煙を吐き出し、うねりの強い灰色の海面に白波を立てて航行している……地味な装いで二等船室に乗り込んだバチカンの「十三人目の使徒」は食事を済ませ、クモの巣のように張り巡らされた王国の防諜網をかわして乗船できたことに少しだけ安堵していた。何度か途中でひやりとすることもあったが、ノルマンディに着いてすぐパリ行きの汽車に乗り、パリ東駅からローマ行きの夜行寝台列車に乗り換えれば、あとは一日揺られているだけでバチカンにたどり着く…


エージェント「さて、そろそろ船室に戻るか……」と、顔にヴェールをかけた褐色肌の若い女性とぶつかった

エージェント「失礼……」

…非礼をわびて行き過ぎようとした瞬間、ふっと相手が後ろに回り込んで一歩近寄り、左手で口を覆うと同時に右手のナイフを下から突き上げるようにして、肋骨の間に深く刺した…

エージェント「……ぐっ!」

ガゼル「……」

…そのまま後部デッキへと引きずられ、スクリューの航跡で泡立つ海面へと投げ込まれたバチカンのエージェント……ガゼルは懐から布を取り出すとナイフを拭い、ふとももの鞘へと戻した…

…しばらくして・とある船室…

客船の士官「……あの、ご用はお済みでしょうか」

…船長に書類を突きつけ、普段は後部甲板で乗客乗員の転落を見張っている監視係を遠ざけておくよう指示していたガゼル……バチカンの「十三番目の使徒」を片付け、船室に戻ってしばらくすると、おっかなびっくりの様子でやって来たオフィサー(士官)がおずおずと質問してきた…

ガゼル「ああ、ご苦労だったな……船長にもそう伝えろ」

士官「分かりました……」




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