ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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593: ◆b0M46H9tf98h[saga]
2022/01/18(火) 02:03:45.84 ID:DJOiByZJ0
…数日後…

ドロシー「……と言うわけで、その機密文書とやらを探し出すのが今回の任務だ」

アンジェ「どうかしら。そんな低級の協力者が運んでいた……しかもうっかり無くしてしまうようなシロモノだもの、どんな「機密」だか分かったものじゃないわ」

ドロシー「確かにな……しかし、数日前から内務省の情報部員が活発に動き回ってこの資料を回収しようと活動しているところから、コントロールはこいつをある程度は価値ある情報だと考えているらしい」

アンジェ「あるいは内務卿がこちらをあぶり出すために、わざと書類を無くして大騒ぎしているのかもしれない」

ドロシー「その可能性も十分にある……だが逆に「本物」だったら降って湧いた幸運ってことになる。いずれにせよ向こうの情報部や防諜部が見つけ出すまでの勝負ってことだ」

アンジェ「そういうことね」

ドロシー「それから今の段階でコントロールがつかんだのは、その機密資料を拾ったであろう奴はイーストエンドの貧民街に暮らしている乞食らしい……って事だけだ」

アンジェ「結構な情報ね……「イーストエンドにいる乞食」を探せなんて言うのは「芝生に生えている一本の芝を探せ」と言っているのとさして変わらないわ」

ドロシー「まぁな……おまけに私は別件でとある貴族のご令嬢のお屋敷に招待されているから、数日ほど留守になる。アンジェ、おまえさんが主体になって動いてくれ……ベアトリスを使うかちせを使うかの判断も任せる」

アンジェ「分かった」

ドロシー「それと、コントロールからはイーストエンドにいる協力者を使っていいとは言ってきている……あまりあてには出来ないだろうが、まぁ「気持ちだけでも」ってやつだな」

アンジェ「思いやりがあるわね」

ドロシー「ああ……とにかく判断は一任する。もしヤバそうなら構うことはないから手を引け」

アンジェ「そうね。そうさせてもらうわ」

…その日の午後…

アンジェ「……そういうわけで今回はちせ、貴女を使う」

ちせ「うむ」

アンジェ「ベアトリス。貴女はプリンセスの身辺をお守りすると同時に、王宮内で色々な情報を耳に入れることが出来る立場にある……今回はその方面で活躍してもらう」

ベアトリス「分かりました……でも「外国人」のちせさんがイーストエンドにいたら目立ちませんか?」

アンジェ「前にも言ったけれど、王国の人間からすれば日本人だろうが清国人だろうが、肌が黄色い人間はどれも「東洋人」に過ぎない……それに裏町には素性の怪しい色々な人間が出入りするから、誰も余計な詮索をしたり鼻を突っ込んだりはしない」

ベアトリス「なるほど」

…しばらくして…

アンジェ「イーストエンドのような貧民街にはさまざまな顔がある……」

…ベアトリスを下がらせ、ちせを相手に貧民街の「講義」をするアンジェ…

アンジェ「……最底辺はその日その日のパンをもらおうとする物乞いたちや、アルコールやケイバーライト鉱といった各種の中毒患者。彼らのたいていは落ちぶれていて気力も無くしているから、余計なちょっかいを出さない限りは何かしてくることなどまずない」

アンジェ「そしてその上にのさばって上前をはねる物乞いの「元締め」たち……そうした連中はたいていの場合そこそこに腕力があってある程度顔も広いから、目を付けられると厄介なことになる」顔色は変わらないが、どこか声の奥底に実感がこもっている……

ちせ「ふむ」

アンジェ「それから貧民街をねぐらにしている小悪党たち……彼らのうちの何人かは「スコットランド・ヤード」(ロンドン警視庁)に自分の犯罪をお目こぼししてもらう代わりに刑事たちの探している犯罪者を密告したり、使い走りのような事をしたりしている……こうした連中は汚い真似をいとわず、おまけに小ずるいから、もしそうした連中を相手にするなら手段を選んでやる必要はない」

ちせ「心得た」

アンジェ「……そして私たちが探したいのが、貧民街で「商売」をする怪しい連中。彼らはありとあらゆるものを取引している……盗まれた銀食器から偽造の身分証、果ては官公庁の内部情報……そしてその周辺には国内外のエージェントや諜報に関わる人間がうろうろしている……接触して「取引」する場合には慎重に慎重を重ねないといけない」

ちせ「なるほど……」

アンジェ「場合によってはナイフにモノを言わせる必要が出てくるかもしれない……とはいえ、必要以上に目立つ真似はしたくない」

ちせ「当然じゃな」

アンジェ「ええ……ベアトリスを外したのはそれもあるからなの。彼女は素直過ぎてこういう場面には向かない……貴女なら表情を押し隠せるし、腕も立つ」

ちせ「恐縮じゃ」

アンジェ「カバー(偽装身分)に関してはすでに用意してあるから、後は探しに行くだけでいい」

ちせ「うむ、委細承知した」



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