ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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632: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/03/03(金) 00:56:53.44 ID:BznFySM/0
ベアトリス「それってただの嫌がらせじゃないですか?」

ドロシー「いいや、それも立派な訓練さ……つまりだ、情報部員ともなると相手の機嫌を損ねないように、嫌いなものでも喜んで食べたり受け取ったりしなきゃいけない場面が出てくるからな……そのための抜き打ちテストってわけだ」そういって肩をすくめると続けた……

ドロシー「……例えばだが、ちせがよく朝飯に食ってる糸を引いた豆とか、「ぬか漬け」とかなんとか言うしわくちゃになったきゅうりのピクルスとか……場合によっては勧められた時にああいうものを平然と食える必要も出てくるってわけさ」

ベアトリス「うぇぇ……あれをですか」

ドロシー「ああ。その点プリンセスはそういうのには慣れているはずだ。何しろ外国の賓客に恥をかかせたりしないよう、常々そういう訓練を積んでいるはずだからな……もし食卓のフルーツを手づかみで食うような客がいたら、そいつに合わせて手づかみで食うだろうし、もぐらのシチューだろうがハリネズミのステーキだろうが、にこにこしながら食ってみせるだろうな」

ベアトリス「間違いないですね、姫様は好き嫌いをおっしゃったことがありませんから……」

ドロシー「だろう? っと、話がそれたな……おまけにその訓練ではにどんな相手でも油断することがないよう、同室や仲良しの訓練生から苦手なものを聞き出す役目が内密に「課題」として出されることもあるんだ」

ベアトリス「うわぁ……でも、ここまでのお話を聞いた限りでは苦手なものが出ただけで、なにもおかしいところがないですよね?」

ドロシー「そこだよ……私たちの代よりもずっと先輩にあたる訓練生の中にいたんだとさ」

ベアトリス「?」

………

…

…十数年前・ファーム…

色白の訓練生「……お疲れさま、ルーシー。教官は相変わらず厳しかったわね」

栗色髪の訓練生「お疲れ、ミナ……でもどうにかなるし」

色白「そう?」


…お互い与えられた仮名を除いては名前も素性も知らない「ファーム」限りの関係とはいえ、同室の訓練生同士ともなると多少は気軽に話しかけたり、ちょっとした物を貸し借りをするような関係が生まれる……ある日の訓練を終え、汗と土ぼこりの染みこんだ服を脱ぎながら、一人の訓練生が同室の訓練生に話しかけた…


栗色「ええ。ちょっと最後の投げは胸につかえたけど……昼に食べたヨークシャープディングが出そうになったわ」


…話しかけた色白の訓練生は大人びたきりりとした顔立ちにすんなりとした姿で、舞踏会の紹介状など持っていなくても執事に通してもらえそうな優雅な見た目をしている……一方、受け答えをしているのは陽気で快活そうな雰囲気をついぞ崩したことがない健康的な訓練生で、顔立ちはなかなかに可愛らしいが、どちらかというと舞踏会よりはクリケットやテニス、あるいはキツネ狩りといった屋外スポーツや活動的なものを好みそうな印象を与える…


色白「まぁ、くすくす……っ♪」

栗色「あははっ♪」寝心地の悪いベッドの薄いマットレスに腰かけ、ほつれや繕いの跡が目立つ支給品の靴下を脱ぎながら元気よく笑った……

色白「それにしてもルーシーは勉強も実技も出来て大したものね……私なんてあれこれ教官に指導されてばかりなのに」

栗色「まぁまぁ、そこは人それぞれでしょう……違う?」

色白「それはそうだけれど、ルーシーには苦手なものってないの?」

栗色「え、私?」

色白「ええ……ほら、例えば私は牛乳が苦手だし、ニンジンも好きじゃないでしょう?」

栗色「そう言えばそうよね」

色白「そうなの。でもルーシーってば何でも好き嫌いがないように見えるから」

栗色「うーん、苦手なものねぇ……」

…そう言ってしばし考え込むと、向かいのベッドに姿勢良く腰かけている同室の訓練生へ顔を近づけ、少し決まり悪そうな様子で切り出した…

栗色「……みんなに言いふらしたり、からかったりしないわよね?」

色白「もちろん、言いふらしたりなんてしないわ」

栗色「ならいいわ……」そう言うと意を決したように口を開いた……

栗色「……こういうとおかしいかもしれないけど、私が苦手なのは……女の子かしら」

色白「女の子、って……だって貴女も女の子だし、ここにいるのは数人の教官を除いたらだいたいは女の子か成人女性でしょうに」

栗色「いや、それはそうなんだけど……ほら、時々なれなれしく抱きついてきたり身体をすり寄せてくる娘がいるでしょう? あの白っぽくて柔らかい身体に触れられたりするとイモムシみたいで気持ちが悪いし、鼻につく甘ったるい匂いとか……考えただけでゾッとすることがあるの」

色白「ふぅん、それじゃあよく着替えとか一緒にできるわね」

栗色「そういうときは出来るだけ見ないようにして、さっさと済ませてしまうから……自分の身体だと何とも思わないから、ベタベタされるのが嫌なだけかも♪」そう言うと苦笑いを浮かべてみせる……

色白「ルーシーもなかなか大変ね♪」



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