ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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707: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/08/24(土) 00:49:24.30 ID:xkSyfmCk0
ドロシー「さてさて、帽子の女はどこかな……」

…ちょっとくだけたパーティ向けにチャーミングな表情を浮かべ、かろやかに会場を巡るドロシー……会場はにぎやかで普通の会話程度なら他人に聞かれることもなく、屋敷のあちこちにある小部屋では商売や浮気の相談など、ちょっとした秘密の会話に興じるべく忍んでいる人間が何人かいた…

ドロシー「……うーん、こうも多いと探すのが大変だ。こうなったらカウンターのそばだな」

…パーティのために雇われた数人のバーテンダーが、きちんとした格好でシェーカーを振り、あるいはマドラーで飲み物をステアすると、喉の渇いた客たちが次々とグラスを受け取っていく……いずれ帽子の女も飲み物を取りに来るだろうと、ドロシーは話しかけてくる相手とたわいない会話を続けながらバーカウンターのそばで待ち受けることにした…

バーテンダー「お嬢様、お飲み物は何になさいますか?」空になったシャンパン・グラスを受け取ると丁寧にたずねる……

ドロシー「そうだな……それじゃあジョン・コリンズを」

若い貴族「私ももらおう」

…ジンとレモンジュース、シロップ、炭酸水を加えた爽やかなカクテルは蒸し暑さを感じるパーティ会場ではちょうどいい……よく冷えていて、表面にうっすらと露がおりたコリンズ・グラスの中身を軽くあおる…

ドロシー「ん、いい味だ」

貴族「確かに絶妙だね……ミス・キンバリー、何かお飲みになりませんか?」

若い貴族令嬢「そうですね、でしたらマティーニを……それと少し甘めにしてくださる?」

貴族「分かりました。君、マティーニを少し甘めにだそうだ」

バーテンダー「はい」

キザな貴族「僕にはうんとドライなマティーニを頼むよ。それからオリーヴはいらない……あんなのは味の邪魔さ♪」上等な帽子を傾けてかぶり、ステッキをもてあそびながら笑みを浮かべている……

遊び人風の貴族「ははは、生意気なことを♪」

遊び慣れた雰囲気の淑女「わたくしも何かいただこうかしら」

遊び人「結構ですな、レディ・スタイルズ……ジョン・コリンズなら口当たりもさっぱりしていてよろしいと思いますが」

淑女「そう、ならそれにしようと思います」

バーテンダー「かしこまりました」初老に近いバーテンダーがカクテルを作ると、余分な動きのない手つきで手際よく酒を注いだ……

遊び人「ところでレディ・スタッブスの話を聞きました?」

淑女「レディ・スタッブスがどうなさいましたの?」

遊び人「いや、それがね……いい歳をして召使いに手を出したんですよ」

淑女「まぁ、いやらしい!」甲高い声でわざとらしく非難してみせる……

遊び人「いやまったく、それも女の子……ですよ?」

淑女「信じられませんわね!」ますます憤慨してみせる淑女…

キザ「ま、年頃の遊び相手もいない可哀想なご婦人だからそういうことをするのさ……僕ならそういうご婦人でも付き合ってあげるけれどね♪」

遊び人「言うじゃないか、見目麗しいご婦人しか相手しないくせに」

淑女「あら、そうなんですの?」

キザ「さぁ、どうでしょうね……♪」とびきりの笑顔を浮かべてシルクハットを小さくもちあげた……

大声で話す貴族「バーテンダー、グロッグを頼むぞ!ジャマイカ産のラムでな!」

面長の貴族「閣下は相変わらずでいらっしゃいますな、まだ海軍のしきたりが抜けきらないと見える」

…海軍上がりと見える中年の赤ら顔をした貴族と、まるでデコボココンビを組んだかのように対照的なのっぽの貴族……赤ら顔の貴族はごく普通に話しているつもりのようだが、それでもトップマストの先端に届くのではないかと思うほど声が大きい……バーテンダーから大きめのグラス入ったグロッグ(ラムの水割り)を受け取ると、ぐいぐいとあおる…

大声「うむ、海軍と言えばラムだからな。ホワイトホール(海軍省)も近ごろはケイバーライト飛行船のおかげで肩身が狭いが……なぁに、あんなものは一時の流行に過ぎんよ!」

面長「人間は空を飛ぶようにはできておりませんからな」すかさず相づちをうつ……

大声「さよう、現にこの間の新造飛行船のテストではケイバーライト機関にトラブルが起きて危うかったと聞いておるぞ!」

ドロシー「……」かたわらでグラスの中身をちびちびと舐めながら「一気に面白くなってきた」と、会話に耳をそばだてる……

話し好きの貴族「そのことなら私も聞き及びました。着陸と消火が間に合ったから良かったようなものの、もう少しで大爆発を起こすところだったとか」海軍上がりの貴族におしゃべり好きを始めとする何人かが加わり、ますますにぎやかになる……

中年婦人「まあ、恐ろしい」

はね上げひげの貴族「心配ご無用。わが王国の飛行船はそんな事故を起こすような粗雑な作りにはなっておりませんからな」

片眼鏡の貴族「とはいえ、上空から焼けた破片が降ってくるような事があったらたまりませんな……」

おどけ者の貴族「この「ケイバーライト・マティーニ」なら歓迎だがね♪」ケイバーライトによる産業革命にあやかった、澄んだミントグリーン色をしたカクテルを片手におどけてみせると、周囲の人々から軽い笑いがもれた……




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