ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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711: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/09/22(日) 02:27:05.64 ID:it7MRNqR0
帽子の女「ぐ……っ!」

帽子の女「う……くっ……」身をよじり振りほどこうともがいたが、アンジェの細い……しかし強靱な腕は蛇のように絡みついて首を締め上げ「帽子の女」はとうとうぐったりと崩れ落ちた……

アンジェ「……はぁ」

ドロシー「やれやれ、どうにかなったな……」

アンジェ「どこが「どうにかなった」よ……どうして腕で毒針を受けとめるような真似をしたのよ、この馬鹿」

ドロシー「とうとう「馬鹿」と来やがったな……簡単さ、私の方がお前さんよりも体格が大きいんだ。毒が回るにしても少しは時間がかかるだろうし、致死量もより多く必要だ。幸いなことにシリンジの全部を流し込まれたわけじゃないしな……」あごをしゃくった先には半分ほど残ったシリンジが落ちている……

アンジェ「強がりを……もう唇が紫色じゃない」

ドロシー「そうかもしれないとは思ってたぜ。何しろひどく寒いからな……なぁに、心配いらないさ。私たちには例の「お守り」があるんだからな」

…唇を青くし、まるで凍えたように震えながら洗面台に寄りかかり、それでもいつもの不敵な笑みを浮かべてみせようとするドロシー……おぼつかない手つきで化粧品ポーチから取りだした、例の真っ黒な「解毒薬」を手に持った…

アンジェ「飲める?」

ドロシー「飲めるさ……一気に飲み下すにはちと大きいが、出来るだけ大きいまま飲み込んだ方がいいらしいからな……」

…赤んぼうの握りこぶしとまでとは言わないが、大きめのアメ玉ほどもありそうな丸薬をにらみつけると口に放り込もうとする……が、手が震えて薬をうまく口元に持って行けない…

アンジェ「……貸しなさい」ドロシーの手から丸薬をひったくると自分の口に入れ、それからドロシーの口に自分の唇を押し当てると、舌先で丸薬を送り込んだ……

ドロシー「んっ……! んぐっ、ぐっ……ん゛ん゛ぅ……っ!」大きな丸薬を飲み込もうと目を白黒させる……

アンジェ「しっかりしなさい、ちゃんと飲み込むのよ」

ドロシー「ん゛ん゛っ……ぶはぁ!」

アンジェ「どう、飲み込めた?」

ドロシー「どうにか。だが卵を飲み込む蛇みたいな気分になったぜ……うえっ、げほっ!」

アンジェ「……大丈夫?」

ドロシー「あ、ああ……くそ、まったくひでえ味だ。苦いクセに薄甘くて、ニンジンの出来損ないみたいだ……」洗面台の水栓をひねって口をゆすいだ……

アンジェ「文句を言わない……どう?」

ドロシー「そうすぐに効果が出たかどうかなんて分かるかよ……気のせいか寒気は収まってきた気はするがな」

アンジェ「ならいいわ。ともかく、毒針の身代わりをするなんて無茶にもほどって言うものがあるわ」

ドロシー「古女房みたいにガミガミ言うな、頭に響く……おしゃべりする暇があったらホールから酒をくすねてきてくれ」

アンジェ「どうする気?」

ドロシー「知れたことさ。そいつを個室に放り込んで酒を浴びせかけておけば、酔っ払いだと思って誰も関わり合いにならないだろうし、こっちが退散するまでの時間が稼げるだろう」

アンジェ「なるほど、回るのは毒だけではないようね」口調はいつもと変わらないが、どことなく気づかうような雰囲気が感じられる……

ドロシー「だろ?」

…数分後…

アンジェ「……戻ったわ」

ドロシー「おう」

アンジェ「効果はあったようね、だいぶ血色が戻っているみたい……瞳を見せて」まぶたを広げて瞳を確かめ、それから指先を見つめるように言って近づけたり遠ざけたりしてみる……

ドロシー「おかげでな、どうにか震えは収まってきた……とにかくこの薬に即効性があってよかったぜ」

アンジェ「そうね」

ドロシー「ああ……それで酒は?」

アンジェ「持ってきた。その女が飲んでいたのはドライ・マティーニだったからジンにしたわ」

ドロシー「気が利くな。もしかしたらウィスキーは飲まない性質(たち)かもしれないしな……運ぶのを手伝ってくれ」

…細身の女性とはいえ、ぐんにゃりとしている死体を運ぶのは容易ではない……人体の引きずり方を心得ているドロシーとアンジェも動きにくいドレスのままでは四苦八苦で、ようやくのことで「帽子の女」を便座に座らせることに成功すると、酔い潰れているように見せかけるためにジンをふりかけ、最後に帽子を目深にかぶらせた…

アンジェ「どうにかなったわね……」

ドロシー「だな。あとは退散するまで大人しく振る舞っていればいい」

アンジェ「そうね」

ドロシー「まったく、ひどいパーティだぜ……おかげで酔いも覚めちまった」

アンジェ「結構ね、酔っ払いの相手はしたくないもの」


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