ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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750: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2025/08/28(木) 00:58:42.37 ID:hWECprpe0
ちせ「承知した、では……御免!」

口ひげ「……あのお嬢ちゃん。刃物の方はおっそろしい腕前だが、真っ直ぐな良い子だな」

ドロシー「まぁな」

口ひげ「だが、良い子すぎて情報部員には向いてない」

ドロシー「知ってるよ……だからそういう分野は私の担当なのさ」

口ひげ「そのほうがいい……さてと」

ドロシー「そろそろやるかい?」

口ひげ「そうしよう」レンガの床に散らばった木箱の破片を足でどけ、靴底で軽く床をこするようにして足元を確かめた……

ドロシー「……それじゃ、お互いにうらみっこなしで行こうぜ?」

口ひげ「当然さ……もし墓があるようなら花ぐらい手向けてやるよ」

ドロシー「はっ、この業界の人間に墓なんてあるかよ……せいぜい別人の墓石が良いところさ」

口ひげ「ブーツヒルじゃないだけまだマシだな」

(※ブーツ・ヒル(長靴の丘)…西部開拓時代に無法者が葬られた墓。ベッドで亡くなる良い人たちと違って「ブーツを履いたまま(撃ち合いなどで)」死んだ人間、あるいは靴を引き取る身寄りもない流れ者が葬られたからとされる)

ドロシー「違いない……それじゃあいいかい? ミスタ・ガンマン?」

口ひげ「……せめて『ガンファイター』って言ってくれるか? 『ガンマン』ってのは銃を持った無法者を呼ぶときの言いかたなんでね」

ドロシー「分かったよ、ミスタ・ガンファイター」

口ひげ「ありがとな……合図はどうする」

ドロシー「そんなのいるか?」

口ひげ「はは、そういうと思ったよ……オーケー、それじゃあそっちの好きなタイミングで始めてくれ」

ドロシー「ああ」

…ドロシーは男の前、数ヤードの距離に立って同じように足元の邪魔な板きれやゴミを蹴ってどかした……男は立派なひげが生えた口の端にかすかな笑みのようなものを浮かべ、脚を肩幅に開いて膝を曲げ、腰を落とし気味にして肩の力を抜き、手をガンベルトにつけたホルスターのわきに浮かせている…

ドロシー「……」

…いざ男の正面に立ってみると陽気そうな雰囲気は表向きだけで、その目には真剣を構えるちせと変わらないほどの冷静さと集中力が込められているのがひしひしと感じられる……ロンドンの倉庫にいながら、ドロシーは西部の荒野での「決闘」がどんな雰囲気なのかを強く理解した…

ドロシー「……」

口ひげ「……」

…ドロシーのホルスターは左腰の前側に吊るした銃を右手で抜く「クロス・ドロー」スタイル、男は右腰のホルスターを右手で抜く「ストロングサイド(利き腕)ドロー」スタイルで、お互いに手を中空に浮かせて抜くタイミングを推し量っている…

ドロシー「……」

口ひげ「……」

ドロシー「……」

口ひげ「……」

ドロシー「……っ!」バンッ!

口ひげ「!」バァン!

…息を詰めること数秒、ほぼ同じタイミングでお互いに撃った二人……ドロシーは左乳房の下側を鋭い熱さがかすめていったのを感じた…

口ひげ「……ごほっ」

ドロシー「ふぅ」

…男はまだ銃口から薄く煙をあげている「シングルアクション・アーミー」を右手に持ったまま、大樹が切り倒されるときのようにゆっくりと倒れていった……服の胸元にはポツンと小さな穴が開き、そこから白いワイシャツに血がにじみ始めている…

ドロシー「……大した早撃ちだったが、名前も聞かなかったな」

ドロシー「ま、お互いに「名無しの権兵衛」さんなのは変わらないか……それじゃあな、ミスタ・ガンファイター」

…最後に口ひげの男をちらりと一瞥すると銃を戻し、通気窓を通って外に出ると霧がかったロンドンの裏道に姿を消した…

………




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