ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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764: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2026/01/20(火) 00:49:43.37 ID:AuK64ONt0
…昼食時・慈善団体のホール…

理事「……かようにしてシャーロット王女殿下の慈愛に満ちた手厚い援助により、貧民たちや中毒患者を始めとする人々がパンとスープにありつくことができるのでありまして、そのお志に心よりの感謝を申し上げ、わたくしの挨拶とさせていただきます」理事たちから「シャーロット王女殿下」への拍手が起こる……

アンジェ「どうもありがとうございます。わたくしの考えに賛同し、ご助力を賜りましたバークレイ伯爵、ヒンカム男爵、エドマンド主教、レディ・アンドリュー、ディクスン男爵夫人、ハーディー男爵夫人を始め、この場を借りて数えきれぬほどの方々全てに御礼を申し上げ、わたくしの乾杯の音頭とさせていただきます……乾杯」

理事たち「乾杯」

…表向きは「慈善」を謳いながら、実際は貴族のお遊びやアルビオン国教会の実績作り、またある種の政治クラブの一つとして存在している慈善団体……その中で本来の意味に立ち返ろうとする健気なプリンセスの姿勢は時に陰で冷笑されながらも一部の正直な人たちの共感を集め、熱心な活動を生み出しつつもあった……とはいえ理事会はまだまだ閉鎖的な社交界の一種で、貧しい人たちが一杯のスープと固くなったパンで過ごしているにもかかわらず、目の前には銀食器やクリスタルガラスで豪華な食事が提供されている……プリンセスの理想とかけ離れた豪華な会食に苦々しい思いをしながらグラスのワインを口にするアンジェ…

太った理事「サー・ポイントン、こちらは絶品ですぞ?」

ハゲた理事「そのローストビーフをこちらにも回してくれんか?サー・アルフレッド」

白ヒゲの理事「この黒トリュフはあまり美味くありませんな……香りが足りない」

アンジェ「……」にこにこと微笑み、話しかけられると当たり障りのない会話と上品かつ控え目なユーモアでほどよくしゃべり、お腹を壊して公務にさしさわりが出ないよう飲食物にはほとんど手を付けない……

口ひげの理事「プリンセス、こちらの料理はいかがですかな?」

アンジェ「ええ、ありがとうございます」

…脇にはベアトリスともう一人のお付き、背後には警護官二人が控え、一挙手一投足ごとに先回りして椅子を引いたり食器を近づけたりする……普通の人間であったら鋳型にはめ込まれたかのような自由のなさに叫び出しそうなほどだが、冷徹なまでに任務遂行を叩き込まれているアンジェにとってはなにほどのものでもない……ただ淡々とプリンセスとしての役割をこなし、美食をむさぼる貴族や飽きたようにごちそうをつついている貴族、聖職者のくせに俗人まるだしの主教などを観察してそれぞれの癖や特徴を記憶していく…

太った理事「プリンセス、こちらは絶品ですぞ?ぜひご賞味下され」

アンジェ「はい、ぜひそうさせていただきますわ♪」

やせこけた貴婦人「……あの方々は自分でどうにかしようという気概がないのですから、わたくしたちがどうにか引き上げてやらなければのたれ死にするのがせいぜいですわ」

肥えた貴婦人「食べられないというのなら食べなければよろしいのよ、その方が身体にもいいというものですわ……わたくしなんてお医者様に「健康と美容のためには一日一食で良い」と言われているくらいですもの」

アンジェ「……」

ベアトリス「……」

…豪勢な食事が済み、南洋の珍しいフルーツまで用意してあるデザートとコーヒー・紅茶まで終わると笑顔を振りまきながら退出したアンジェ…

………



…午後・お茶の時間…

アンジェ「……こうして皆とお茶を過ごすのはわたくしにとって大変よい機会ですわ。もし何か至らないところがあったら遠慮なく申してくださいな?」

侍女「いいえ。わたくしどもはシャーロット王女殿下にお仕えできて大変光栄に思っております」

アンジェ「そう言ってくれて嬉しいわ、ケイト♪」

侍女「そんな……滅相もない、過分のお褒めにございます///」

…庭園でお茶を囲み、普段は身の回りの世話や雑用に走り回っている侍女たちをねぎらう私的なお茶会で、人柄が良く暖かな心遣いを忘れない「完璧なプリンセス像」を演じるアンジェ……そこにはアンジェ自身が持っている「プリンセス」への理想も混じっていて、それが侍女たちにより一層「シャーロット王女」を感じさせる…

ベアトリス「……」

アンジェ「いいのよベアト、わたくしが注ぐわ♪」一人のカップが空になりそうなところでベアトリスがポットを取ろうとすると、軽く手を添えてお茶を注いだ……

ベアトリス「……ひ、姫様///」

巻き毛の侍女「あ……ありがとうございます……///」手を触れられたベアトリスと、プリンセス手ずからお茶を注がれたあどけない巻き毛の侍女はそろって赤面した……

プリンセス「いまのわたくしは一人の「シャーロット」として皆と過ごしたいの、お菓子も遠慮なさらずに召し上がって?」

…チャーミングな微笑みを浮かべ、皿のプティ・フール(一口菓子)やスコーンを取ってあげるアンジェに年若い侍女たちはほんのりと頬を染め、しきたりにうるさくかたくなで、灰色がかった顔色もいかめしい老嬢たちですら少しだけ表情がゆるんでいるように見える…

アンジェ「さぁさぁ、遠慮なさらずわたくしを喜ばせて欲しいわ♪」

…お菓子を取り分け、お茶を注いであげながら脅迫状の送り主がなにか表情に浮かべることはないかと観察を続けるアンジェ……とはいえ大抵の侍女は王族や貴族、果ては格上の女官や侍女たちが浴びせる癇癪や叱責に慣れているため表情を取り繕うことにも長けていて、少し観察した程度でボロを出すようなことはまずない……この和やかな空気の中に一人以上の害意を持った「誰か」がいるのは部屋のどこかに毒蜘蛛がいる事を知りながらベッドに入っているような気分だが「チェンジリング」作戦をはじめ、薄氷を踏むような任務をこなし続けているアンジェにとっては何ほどのものでもない…

アンジェ「さぁ、貴女も♪」

ベアトリス「一緒にお菓子もどうぞ?」

血色の悪い侍女「え、ええ……ありがとうございます、シャーロット王女殿下」

アンジェ「どういたしまして♪」

………





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