12:名無しNIPPER[saga]
2018/11/12(月) 19:21:22.79 ID:5dKpBTKf0
その栗色の髪に顔をうずめる。
いろは「くすぐったいですよー」
いつもの一色の、いつもの甘ったるい匂い。
もっと、もっと嗅ぎたくなって耳に顔を近づける。
その可愛らしい耳は、一色の弱点だということを、俺だけが知っている。
いろは「ひゃっ……せんぱいここ外ですって、何やってるんですかー」
八幡「……」
こんどはさらに肩口に顔を埋め、首筋の匂いを嗅ぐ。
さらに濃い、一色の匂いが鼻腔なんてすっ飛ばして脳髄まで刺激してくる。
正直、理性なんてトんでいた。
いろは「ちょっとせんぱいーーー」
そういって一色が抵抗をする。そこでようやく俺は我に返った。
いろは「……あの」
八幡「……はい」
いろは「……なにやってるんですかせんぱい、家はそこなのに」
八幡「いや……、俺としてもよくわからないうちにな……」
すると一色は顔色を変え、
いろは「せんぱい、もしかして」
何故か嬉々とした顔で、
いろは「やきもち、やきました?」
やきもち、その言葉を自分の頭で反芻する。
今日の俺の妙な浮つきを説明するのにぴったりなような気がした。
八幡「確かに…、そうかもしれない」
そう認めると、一色はもっと嬉しそうに、
いろは「え、これ言っていいのかわかりませんけど、なんかめっちゃ嬉しいです」
八幡「ああ……」
いろは「だってせんぱい、普段好きなんて絶対言いませんし、メールでは言いますけど、えっちしてるときですら言ってくれないんですもん」
八幡「あんま大声で言うなよ……」
いろは「そんなせんぱいが、やきもち妬いてるなんて……」
そういう一色は本当に嬉しそうに、近づいて、目を合わせてくる。
いろは「じゃあ、せんぱい」
また、甘い匂いが漂う。
八幡「……なんだ」
赤らんだ顔に、子供みたいな無邪気さと、大人みたいな艶やかさを湛えた笑顔で、
いろは「今夜はいっぱい愛してくださいね」
こんな、こんな馬鹿げたことを言うのだ。
それが、俺の彼女、
八幡「……おう」
一色いろはなのだ。
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