中野三玖「だっかんじぇらしー」
��↓ ��1- ��覧 ��板 ��20
19:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:40:13.82 ID:wXoZOq/r0
「上杉さん、この式はどうして出てくるんでしたっけ?」
「あー、えっと、それはだな……。やべ、途中式抜けてる……」
「お疲れでした?」
「いや、待ってくれ。まだギアが上がってないだけだから。ここから本調子に戻す」



20:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:40:43.56 ID:wXoZOq/r0
 なかなかどうして上手く行かない。いや、原因は間違いなく分かっているのだけれど、それを認めてしまうことがどうにも恥ずかしく思えて、踏ん切りがつけられないのだ。
 俺は同世代の男子とは違って、性欲なんかに支配されるような意志薄弱な人間じゃない。それを誇りのように思ってこの数年勉学に励んできたというのに、一度童貞を捨てただけでこのザマだなどと、どうしてもプライドが許さないのだ。
 これまでは、あらゆる欲を理性で制御してきたつもりだった。だから今さら、一時の快楽に流されるなんてことがあってはならない。ならないのだから――



21:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:41:13.65 ID:wXoZOq/r0
「上杉さん、なんだか顔が赤いみたいですよ?」
「……知恵熱」

 ――四葉の体に二乃の裸体を重ねてしまったなんて言い出せるわけもなく、ぷいっとそっぽを向いた。五つ子はこういうところで作用してくるのかと、心の中で悪態を吐く。性格的には全然違う癖に、まったく同じ体つきだなんて、たちが悪いにもほどがあるだろう。
 


22:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:41:43.59 ID:wXoZOq/r0
 俺の渋るような返答を聞いた四葉は何かしらの思案を経てから、ぽんっと手を打った。いかにも、『妙案を思いつきました!』みたいな顔で。

「おい」
「じっとしててくださいねー」


23:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:42:11.42 ID:wXoZOq/r0
 ずずいっと顔を寄せてくる四葉。端整な顔立ちだなあなんて思っている余裕はなく、脳裏をよぎるのは、この前強引に二乃に唇を奪われた時のこと。……え? そんな素振りなんて一切見せてなかったってのに、まさか四葉もなのか……?

「そこまで変わらないので問題はなさそうです」
「…………お前の体温が高いだけだ」



24:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:42:45.03 ID:wXoZOq/r0
 おでこ同士をぴったりくっつけて、熱の計り合いをしているつもりらしい。正月の時と言い、こいつは他人との距離感の取り方がバグっているとしか思えなかった。やり方なんて、他にいくらでも選べそうなものなのに。

「じゃあ、体調に異常がないのが判明したところで、続きをしましょうか。あんまりお時間を取らせてもいけないですし」
「……ああ、さっさと理解してくれ」



25:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:43:16.51 ID:wXoZOq/r0
 どっと気疲れが押し寄せてきて、そのまま肩を落とす。勘弁してくれよ、ほんと。 
 しかし、朗らかに笑っている四葉の顔を見るとどうにも毒気を抜かれてしまってダメだった。ご姉妹の中で一番単純なようでいて、実のところ最も良く分からないのがこいつかもしれない。


26:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:43:44.46 ID:wXoZOq/r0
 その後二十分くらいの悪戦苦闘の末、なんとか四葉から「納得しました」との言葉を引き出すことに成功した。お辞儀をした後で元気よく走り去っていく彼女の後姿を脱力しながら眺めた後で、俺もようやく自分自身のテキストを開き直す。気を抜いていると、また思い出してしまいそうだ。


27:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:44:14.35 ID:wXoZOq/r0
 そこから二時間程度鉛筆をノートに走らせて、外が暗くなったのを理由に帰宅を決めた。重たくなった肩をぐるぐる回すと、関節がばきぼきと嫌な音を奏でた。
 ここでふと、俺にしてはかなり珍しいことに、ケータイを見てみることにした。もしかしたららいはにお使いの催促をされている可能性がある。


28:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:44:51.85 ID:wXoZOq/r0
「……おっと」

 即座に『見なかったことにする』という選択肢が浮かんできたが、それは否定。今の俺が置かれている立場上、下手な手は打てなかった。
 『六時に校門で』とのメール。送り主は三玖。現在時刻は六時半なので、間違いなく遅刻していることになる。

以下略 AAS



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