3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/01/01(火) 02:32:41.86 ID:7imqMhW20
俺は、あるアイドル事務所の、ある女子寮の一室で意識を得た。気がついたとき、知っていたのは自分の名前と境遇だけだった。あと簡単な日本語も
どうしてただのぬいぐるみの俺が意志を持ち喋れるようになったのかはわからねぇ。コンパク? 入ってねぇよ。BLEACHは面白いよな。俺は動けねぇから漫画を読めないし、アニメでちょろっとしか観たことしかねぇけど
俺の声は誰にも届いていないようだ。コミホ(小日向美穂のこと。イかしてあだ名だろ?)になんど話しかけても俺の声は聞こえてないみたいでな
寝ている間に抱き締めるのはいいが、涎を垂らすのだけは勘弁してくれって、何度言っても伝わらねぇんだもん
……まぁ、ちゃんと俺が洗濯して欲しいときに洗濯してくれるのは嬉しいけどな。洗剤だって、いい匂いがするやつを使ってくれる。あれ多分いいやつだぜ、外の毛から中の綿までしっとりと染みこむ感覚で分かる。アレは最高の洗剤だ。
「ただいま!」
おっと、そうこう言っている間にコミホが帰ってきたみたいだな。一人で留守番は寂しいんだぜ、なんてったって動けねぇし眠れねぇしで何することがねぇもんな
コミホはそのまま俺のベッドに飛び込んで、俺を抱き締めてくる。まだ風呂も飯もまだだろうに。先に風呂入ってから飯だとダイエットにいいらしいぜ、血の流れとかなんとかで。まぁ綿しか詰まってない俺には関係ないけどな
「今日ね、プロデューサーさんにね、わたし」
コミホは抱き締めた俺に、今日あったことを語りかけてきた。いつもこうだ、嬉しいことがあったときは、いつもこうして俺に向かって報告してくる。愚痴を言うときもある。
嬉しいときの話題は決まって「プロデューサー」ってやつが登場する。どうも俺の名前の元になった人間らしい。話を聞く限りだと完璧超人にスーパーイケメンを足して8乗くらいをした人間らしいが、そんなのこの世に存在するのかね?
俺みたいな意志を持った熊のぬいぐるみが言うことじゃねぇか、ガハハ
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