92:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:53:12.06 ID:iPDnomYs0
「バイト先の店員さんに感謝です」
「悪いな、俺まで厄介になっちまって」
「いえいえ、元から二枚あったので、ちょうど良いタイミングでした」
少し前に譲ってもらったのだという映画のチケットが役に立った。こいつは人好きのする奴だから、バイト先でも気に入られているのだろう。
93:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:53:51.69 ID:iPDnomYs0
「面白かったですね」
「期待してたよりはな」
見入ってしまったことをそのままに伝えるのはどうにも気恥ずかしく、だから迂遠な表現方法に頼ることになる。まるで成長が見られないが、もともと俺なんてこんなもんだ。
94:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:54:28.93 ID:iPDnomYs0
「でも上杉さん、泣いてる女の子のことをじろじろ見るのはマナー違反ですよ」
「気になるもんは仕方ないだろ。あんだけぴーぴー泣いてんだから」
「なっ」
ぴーぴーは余計だったらしい。四葉は何かを訴えたそうに唇をこっちに突き出しているのでおそらく今の間に減点がなされているのだろう。そういや聞いていなかったが、ポイントがゼロを下回った場合は何が起きるのだろうか。
95:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:55:17.09 ID:iPDnomYs0
「別に減るもんでもないしいいだろ。お前らの泣き顔はもう飽きるほど見た」
「それ、なかなかの問題発言ですね」
「しゃーないだろ。お前ら気づいた時には泣いてんだし」
そもそも俺が泣かせているわけでもないし。たまたま居合わせる状況が多いってだけで、そこに俺が関与してはいない。……ちょっと関わっているかもしれないけれど、関与していないということにする。
96:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:55:44.87 ID:iPDnomYs0
「そこでさっとハンカチを手渡す心配りがあれば、上杉さんも一人前なんですけど」
「なんだ。その俺がまだ半人前みたいな言い方は」
「……人混みに巻き込まれたときにさりげなく手を貸してくれる優しさなんかがあれば、上杉さんも一人前なんですけど」
「それはもうさりげなくねえだろ」
97:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:56:24.69 ID:iPDnomYs0
「……はぁ」
「幸せが逃げちゃいますよ」
「やって来たこともないからセーフだ。……ほら、袖でも握ってろ」
「……変化球」
「なんだその感想」
98:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:57:17.17 ID:iPDnomYs0
「五分の一人前の奴に言われてもって感じだ」
向こうの三倍以上俺の完成度の方が高い。どんぐりの背比べ感もあるが、勝敗と優劣ははっきりさせておくに越したことはないだろう。
「私も、上杉さんが思ってるよりは成長してますよ?」
99:名無しNIPPER[ saga]
2019/02/02(土) 22:58:05.17 ID:iPDnomYs0
「どうだかな」
「どうでしょうね」
意味もなく笑って、その場を後にする。
彼女たちの成長なんてハナから知っていることではあったから、否定する気も起きやしなかった。
100:名無しNIPPER[sage]
2019/02/02(土) 23:34:59.14 ID:Hylro0EXo
>「私も、上杉さんが思ってるよりは成長してますよ?」
ああ〜
101:名無しNIPPER[sage]
2019/02/02(土) 23:42:08.82 ID:Nr4oQxY20
周囲の人たち爆発しろって思ってそう
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