912:オパビー[saga]
2019/03/21(木) 18:04:54.04 ID:8MiA/DtY0
最後は少し特殊な個体だ。
奴隷市場の中を歩いていると、ある一角だけ少し広い空間があった。
不思議に思い中央の檻に近づいて見ると、むわっとした熱気がその空間内に広がっていた。
檻の中からは何かの鳴き声のような声が聞こえてきていた。
檻を覗くと、中には小さな龍がいた。
私「やけに小さいが、ファイアドラゴンだな」
サンジェルマン「そうだな」
橙色の綺麗な鱗に黄色い模様と毛。
それはまごうことなきファイアドラゴンだった。
火龍「……………ぅぉ」
ファイアドラゴンは私達に気づくと立ち上がり、ぎこちない動きで近づいてきた。
プレートを見てみるとそのぎこちない動きの理由が分かった。
どうやらこのファイアドラゴン、元は布は綿で作られた人形だったらしい。
それがつい最近なぜか命を持ち、材質も変わり本物のファイアドラゴンとして動き出したようだ。
火龍「ぉおん………ぁぅん」
ぽろぽろと宝石のような涙をこぼしながら、ファイアドラゴンは助けを求めるような声を出した。
無垢な瞳が涙を浮かべ、きゅるんと私の目を焼く。
いや、比喩じゃない。
私「あっつ!」
サンジェルマン「あつい!」
私とサンジェルマンは揃って後ろに飛んだ。
サンジェルマンのたてがみがちりちりと焦げている。
火龍「ぅぅ………きゅぉぉ…………」
プレートをよく見れば、どうやら熱量はあのファイアドラゴンの気持ちに関係するらしく、悲しければ悲しいほど熱くなるらしかった。
可哀想だが、今は一旦ここを離れよう。
私達が離れていく時も、ファイアドラゴンは助けを求めるように鳴き続けていた。
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