中野五月「あいまいでぃすたんす」
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72:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:46:15.51 ID:DuXGhBQm0
 抱えているものが多すぎて、それらを消化する時間が追いついてこない。だから必然として睡眠の方にしわ寄せが回ることになって、なんだか体が怠かった。
 昨日がそうであったように、今日も渡された問題はさっさと解き終わったので、残り時間は瞑目して過ごすことにする。あくまでも授業の延長なので気分的に居眠りはできないが、視覚を切るだけで多少体は休まるだろう。ペース配分を誤ってこんなところで体を壊そうものなら、五つ子のサポートなどとは言っていられなくなる。
 …………そのつもり、だったんだけど。

「珍しいですね、上杉君が授業中に居眠りなんて」
以下略 AAS



73:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:46:44.60 ID:DuXGhBQm0
 背中を揺さぶられて覚醒。時計を見れば、今は授業間の休み時間。ちょっと休むつもりが、そのまま眠りの世界に誘われてしまっていたらしい。
 意識下どころか無意識下でも大分参ってしまっているのだなぁと肩を落としながら、俺を起こした張本人である五月と向かい合った。

「気ぃ抜いたら意識飛んでた。悪いな」
「謝られることでもないですが」
以下略 AAS



74:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:47:15.26 ID:DuXGhBQm0
 確かにそうだ。俺は五月に不利益を押し付けたわけじゃない。それなのに「悪いな」では、言語的に不調和か。
 かと言って、起こしてくれたことに感謝するのはそれはそれで違うような。俺が日本語を自在に使いこなせないだけかもしれないが、こういうときに重宝する表現の一つくらい用意しておいてくれればいいものを。

「そうだ五月。ノート、ちゃんと届いたか?」
「そのお礼を言いに来たのですが」
以下略 AAS



75:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:47:41.02 ID:DuXGhBQm0
「目は通したか?」
「一通りは」
「ならいい。そこまで急いでやる必要はないから、暇を見て進めとけ」
「ありがとうございます、本当に」
「仕事だからな」
以下略 AAS



76:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:48:20.75 ID:DuXGhBQm0
「報酬、弾まないとですね」
「忘れんなよ」
「しっかり記録してありますから」

 耳を揃えて〜とでも言おうかと思ったが、こいつにはその手の冗談が通じないことを思い出す。下手をすると角をぴっしり合わせた現ナマを用意してくるかもしれないから、この表現は胸の内に秘しておこう。
以下略 AAS



77:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:48:59.02 ID:DuXGhBQm0
 大きく項垂れる五月。天気の話題で誤魔化すなんて盛大なテンプレートは俺には通じないのだった。
 しかし、そうか。感触薄か。焦ってどうにかなるものでもないけれど、今の段階でそれはなかなかに厳しいものがある。
 
「中途半端が一番良くないからな」

以下略 AAS



78:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:49:54.68 ID:DuXGhBQm0
「全然自信がつかなくて」
「そりゃな。自信ってのは成功体験か努力に基づくもんだし」

 俺の場合なら学年一位と言う看板。二乃なら料理、四葉ならスポーツ。明確に実績を残せる何かがあるのなら、それは自分の中で強固な屋台骨になってくれる。
 だが、そこには大前提として大いなる落とし穴が存在していて。
以下略 AAS



79:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:50:26.68 ID:DuXGhBQm0
「……とは言え、一朝一夕でどうにかなる問題じゃねえんだよなぁ」

 自分に甘い奴なら、一生懸命頑張った自分自身を肯定することができるだろう。だが、中野五月は堅物だ。そんな妥協を良しとするタイプの人間性を持ち合わせてはいない。
 融通が利かないと言えばそれまでだが、俺は心のどこかで、その頑固さを評価している節があった。出来ることなら彼女にはその愚直さを後生大事に抱えてもらったまま、理想のゴールにたどりついて欲しいとさえ思っている。
 しかしそれを成し遂げるには高いハードルがあまりにも多すぎて、どうやって打倒すればいいか困りものだ。
以下略 AAS



80:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:51:18.30 ID:DuXGhBQm0
「まあ、そのあたりはなんとか知恵出しとくわ。精神論以前の問題として知識量が足りてないってのはあるし、今はひたすら勉強するしかないわな」
「……毎度お手数おかけします」
「仕事だって言ってるだろ。もっと楽に構えとけ」

 肩肘張るなと言ったところで、真面目な奴は余計に気負ってしまう。だからといって無言で突き放すわけにもいかず、そのあたりのパラドックスが俺をちくちくと突き刺してきた。
以下略 AAS



81:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:51:54.90 ID:DuXGhBQm0
「とにかく頑張れ。俺も頑張る。今んとこはこれだけ」

 五月の背中をグイっと押して彼女の席に押し返す。俺とばかり顔を合わせていては気が滅入ってしまうだろうから、不可欠の措置だ。
 
「あ、あのっ」
以下略 AAS



82:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:52:34.09 ID:DuXGhBQm0
「フータロー君から見て、五月ちゃんはどんな調子?」
「正直に言って良いか?」
「嘘つかれた方が困るな」
「ならぶっちゃける。かなりヤバい」

以下略 AAS



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