中野五月「あいまいでぃすたんす」
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85:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:54:20.62 ID:DuXGhBQm0
「たとえば?」
「たとえば……なんだろね?」
「おい……」
「分かんないものは分かんないよ。こればっかりは五月ちゃんの気分次第だし」
「まあ、それはそうなんだが……」
86:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:55:01.90 ID:DuXGhBQm0
「どうしたもんか」
「大変だね、先生も」
「まったくだ」
予報通りに降り出した雪にはしゃぐ四葉を遠巻きに眺める。これだと、先生と言うよりは保護者って感じが強い。
87:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:55:30.92 ID:DuXGhBQm0
「ただ、ここまで来たらもう引き返せねえ。死なば諸共だ」
「死なないでよ」
「今のままだと結構な確率で死ぬからな。そろそろ墓の準備をしておく頃かもしれない」
「ならいっそ、ウチのお墓に一緒に入る?」
「いや、俺んちにも……待て。唐突に爆弾投げてくんな」
88:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:56:07.66 ID:DuXGhBQm0
「フータロー君ちのお墓に入るのでも良いよ」
「さっきのは『止まれ』って意味だ。分かったか?」
「上杉一花……いい響きだね」
「…………」
89:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:57:07.63 ID:DuXGhBQm0
「日本の離婚率は三五パーセントだ」
「六割以上も一生を添い遂げるだなんて素敵だよね」
「強い強い強い」
「私たちなら絶対その六割に入れると思うな」
「怖い怖い怖い」
90:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:57:43.57 ID:DuXGhBQm0
「なーんてね。演技演技」
「それ言えば何でも許されると思ってないか?」
「思ってるわけないじゃん。本当だよ。嘘じゃないよ」
「…………」
91:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:58:36.58 ID:DuXGhBQm0
…………が。
「フータロー君の手あったかー」
「…………」
「フータロー君の腕ながー」
92:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:59:13.75 ID:DuXGhBQm0
「上杉さーん! 見てくださいこれ! 雪の結晶!」
「お、おう」
「写真、写真撮ってください!」
「お、おう」
「素早くお願いしますね! 溶けちゃうので!」
93:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 22:59:42.88 ID:DuXGhBQm0
「四葉は相変わらずだな……」
「そうだね。そんな子まで手にかけちゃうフータロー君も相変わらずだね」
「俺に怨みでもあんの……?」
ウィークポイントばかりをぐさぐさ突き刺してきて困る。しかしそれが事実である以上は否定しようがなく、そのあたりがまた一段と厄介。
94:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 23:00:16.21 ID:DuXGhBQm0
「怨みっていうよりは、妬みっていった方が近いかも」
「妬みの対象はなんだよ」
「フータロー君の感情が私以外に向くこと?」
「なぜ疑問形……」
「自分でもはっきり分かってないからね。ただ、君が他の女の子と話してるのを見るともやもやする」
95:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 23:00:51.89 ID:DuXGhBQm0
あって困るものではないが、第一優先ときっぱり言い切ってしまえば反感を買うと分かる。他人を好きになるとき、ファクターをルックスに求めるのは不純と言う向きが通念としてあって、だから人はそのあたりを上手く繕って当たり障りない理由を探そうとする。内面を愛することが何より美しいことなのだと、そんな考えが世には蔓延している。
正直なところ、俺は何も分からない。少し前までは他人に好意を向けられたこともなければ、他人に好意を向けたこともなかった。俺の人生に存在するのは親愛のみで、恋愛という概念とは人生を通して関わり合いがないものだろうとも考えていた。
ただ、近頃の狂騒の中、嫌でも考えざるを得なくなった。人が人を好きになるメカニズムや、どうしてそれを伝えるのか。もちろんのことまるで答えは出てくれなくて、時間ばかりが失われていくだけなのだが。
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