旅するオトナとパン・ガール
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3:名無しNIPPER
2019/04/13(土) 23:07:53.50 ID:8SrGiE5E0



「パン型のクッションって最近いろいろ売ってるじゃない。あんなのはどう?」

「もう何種類か持っていたと思うわ。このあいだ写真を見せてくれたから」



 そっかぁ……と残念そうな声を返す夏美さん。

 お昼すぎの事務所、休憩スペース。

 さっきから埒のあかない話をぼんやりと続けている。事の発端は、数日後に控えたみちるちゃんの誕生日に何をプレゼントしようかまだ迷っている、と私が言い出したことだ。



「パンじゃダメなの?」

「ダメではないけど、ね」



 専門家にベタなものをプレゼントするのって少し抵抗感がある、みたいな話と似ている。いや本音を言うと、せっかくだから少し捻ったものにしたいな、と思っただけなのだけど。



「言いたいことはわかるんだけど……」



 惠もけっこう面倒な性格してるわね、と夏美さんがこぼす。



「だってあの子ならきっと、何だって喜んでくれるんでしょう?」



 惠自身、そう思ってる顔してるわよ? そう看破されて、思わず笑ってしまった。

 たしかに本音を言えば、そこまで困ってはいない。それは夏美さんの言うとおり、きっと彼女なら何だって喜んでくれるだろうって信頼があるから。

 お仕事で何度か共演したりイベントユニットになったりしている私とみちるちゃん。関わることがあるうちに、普段の何気ない彼女とも接するようになった。事務所で雑談をしたり、一緒にトレーニングに打ち込んだりすることもある。あまりガラではないけれど、多少なりとも慕われているようには思うし、大切なアイドル仲間の一人だと思っている。

 そんなこんなだからこそ、やっぱり「これ」っていうものをあげたいなという気持ちが多少あるし、あいにくそれがまだ決まらずにいる。


 近所のおいしいパン屋さん? パンも食べられるレストランで食事? おおはらベーカリーに一緒に行く?

 ……どれもアリのようで、何か物足りないような気がしなくもない。

 年に一度の彼女へのギフト。いろいろお仕事をご一緒した事務所の仲間として、一人の先輩として。さてさて、何がよいものかしら。





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