169: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/11(土) 16:56:33.18 ID:S2+rdedU0
「…ここか」
比較的新しい建物の前で立ち止まる。この地域の児童相談所だが、他の行政機関と一緒になっているようで、結構な大きさがある。
気になって見に来てみたのだが、よく考えたら今は定時過ぎだ。窓に明かりは灯っているが、ドアは閉まっている。
「まあ、仕方ないか」
諦めて帰ろうとしたその時、1台の乗用車が乱暴な運転で門の前に止まった。勢いよくドアが開き、降りてきたのは一人の女だった。彼女は足音荒く門に歩み寄ると、横の通用口から施設へと入っていった。
…
丁度家に戻ってきたところで、電話が鳴った。
「もしもし」
”お世話になってます”
「ああ、君か」
相手は、先程覗いた児童相談所の所長だった。彼はやや疲れた声で、言った。
”丁度今、あの娘の保護者と話が付きました。諸々の手続きはこちらで進めますが、身元自体は明日にもお引渡しできます”
「そうか。ご苦労だった」
切ろうとして、ふと止まる。私は、付け加えた。
「…気持ち程度、期待せずに待っていてくれよ」
”! は、はあ”
私は、受話器を置いた。
「どうなりました」
近寄ってきた妻に、私は笑顔を向けた。
「明日には引っ越してくるそうだ」
「そう! じゃあ、ご馳走を用意しなくちゃね。家の案内もしてあげないと…」
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