194: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/12(日) 14:45:11.07 ID:AHJFzVqd0
旧姓『島崎』朱音。10歳。…私の、『娘』。
彼女は、洗いたての清潔な衣服に身を包んで、送迎車の私の隣に座っている。膝の上にランドセルを載せて、これから小学校に向かうところだ。
身体を洗い、前髪を髪留めで上げると、やはり彼女は愛らしい顔立ちをしていた。まだ不健康なほどに青白く、痩せた身体をしているが、それはこれから良くなってくるだろう。
小学校の、正門前に着いた。ドアを開ける前に、私は言った。
「下校の時間になったら、この車が迎えに来るからね。ここで待っていなさい」
「はい」
「よし。じゃあ、行ってらっしゃい」
車を降りる朱音。彼女が校舎へ入っていくのを見届ける前に、車が走り出した。
…
会議や執務の合間に、私は例の非行少年ファイルに目を通してみた。無論、男のところは読み飛ばしてだが。
以前から思っていたが、非行に走る少女は大抵、奇妙な名前が付いている。見栄えだけを優先した不自然な漢字や、そもそもカタカナなど。分厚いファイルの中で、特に目に留まったのは、3人の少女であった。
「『八島絵里』…『星ノ瀬煌良(きらら)』…『流雲ミュネア』…ミュネア?」
そうそう、ここに挙がる名前には、外国人のものも多い。不法滞在の者も少なからずいるだろうし、そもそも異国の地は暮らしにくいものだ。
ひとまず彼女らの情報を頭の隅に入れておくと、書類を鞄の中に仕舞った。
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