246: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/15(水) 22:11:59.05 ID:/pjjLOdG0
「…他にいないのかね」
「…ん?」
所長が、怪訝な目で私を見た。
「あの娘みたいに、親に恵まれなかった子は」
「全部引き取る気ですか」
「! いや…」
私は少し身を引くと、玉子の寿司を口に入れた。
「…場所とか人手とか、諸々許すなら構いませんけど」
「はあ?」
今度は私が、彼に怪訝な目を向けた。所長は酒を舐めると、相変わらずぼそぼそと言った。
「お金持ちで、社会的地位があって、なおかつ夫婦揃っている。里親としては、結構理想的なご家庭だと思います。今後も、こちらからお願いすることがあるかも」
「本当かね」
思わず身を乗り出した。
「ええ。…もっとも、私があと何年、今の所にいられるか分かりませんけどね」
…
「ただいま…」
「おかえりなさいませ」
音を立てないよう静かに玄関に入ると、妻がいそいそとやって来た。
「朱音はもう寝ただろう」
「ええ。お風呂はどうなさいますか」
「明日の朝、入るとしよう」
「分かりました。鞄は片付けておきますからね。……おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」
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