310: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/19(日) 12:03:58.32 ID:Kh3sFDp50
今日も私はハンドルを握り、街へ繰り出した。行き先は、電気街の一角にある無線屋だ。
仕事柄、盗聴器や監視カメラには縁が深い。一人である程度のセッティングや改造もできたりする。無論、目的は朱音を『見守る』ための設備だ。
「…いらっしゃい」
狭い店内に入ると、他に3人の男がガラス棚を眺めていた。何気なくそちらに目を向けて、ずらりと並んだ中古スマートフォンに気付いた。
「最近の子は、もう持ってるのかな…」
考えながら、ちらりと通りを見る。店の前を行き交う人、人、人。老いも若いも皆、忙しなく小さな画面を見ている。
私は、店員を呼び止めた。
「ここにあるスマホで、一番状態が良いのはどれかな」
…
昼前に家に帰ってきた私は、書斎に籠もり作業していた。
小さなスマートフォンの画面を外し、基盤を剥き出しにすると、頭を抱えた。これに何か繋ぎ足すのは無理そうだ…
諦めて画面を嵌め直すと、今度は自分のコンピュータに接続し、管理者用のインターフェースにアクセスした。ハードに手を加えられない以上、ソフトをいじるしか無い。
「…こんなもんかな」
バックドアを仕込み、使用状況がこのパソコンに常時送られるように。カメラを常時録画状態にして、映像や音声を送ることも考えたが、バッテリーがあっという間に無くなるだろう。そうでなくとも、何もしていないのに本体が熱くなりすぎて、怪しまれる。
仕込みを終えたスマホを、一緒に付いてきた箱に仕舞う。他にも、小型カメラを2つ、盗聴器を1つ買ってきた。朱音がいない間に、部屋に仕込んでおこう。
1階に戻ると、丁度昼食の準備ができたところであった。
「おうどんを茹でましたよ。さ、食べましょ」
「うん。…いただきます」
うどんを箸で手繰りながら、私は何気なく訊いた。
「朱音の友達は、もうスマホは持ってるのかな」
「皆持ってる」
朱音は即答した。
「朱音は持っていたかな」
すると朱音は、首を横に振った。
「でも、まだ早くないかしら?」
妻が言うので、私は曖昧に唸った。
「だが…何かあった時にうちに連絡できないとなぁ。近頃は公衆電話もめっきり見なくなったし」
「あら、そうなんですの?」
「『こうしゅー電話』……って、何?」
朱音が首を捻るので、私と妻は顔を見合わせた。
「…前使ってたのがあるから、また電話できるようにして預けておくよ」
私は、そう提案した。
頷く朱音を見て、私はほっと胸を撫で下ろした。これで、自然な流れで改造済みスマートフォンを、朱音に持たせることができる。
安価下1〜3でコンマ最大 午後の行動
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