56: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/06(月) 21:15:21.40 ID:2DWECDmt0
「やあ」
「…」
努めて優しい声で、話しかけてみた。少女は反応せず、人形に話しかけている。
「…やあ、君」
「…!」
少し声を張り上げると、今度はびくんと竦み上がって、弾かれるようにこちらを見上げた。黒い髪を長く伸ばした、大人しそうな少女だ。前髪も長く、目が隠れてしまっている。
「君、友達はどうしたんだい」
「…」
座ったままじっとこちらを見上げて、少女は動かない。その肩が小さく震えているのに、私は気付いた。まあ、知らない大人に話しかけられたらそうなるだろう。
「そろそろ暗くなるだろう。一人でいたら、危ないよ」
「…」
何も言わない少女。よく見ると、彼女の着ているトレーナーやキュロットスカートは、色はそれなりに派手だが清潔感に欠けている。シワが目立つし、何より汚れている。洗濯していないのだろうか。少女自身も、伸ばしっぱなしの黒髪はお世辞にも手入れされているようには見えなかった。
「…家には、誰もいないのかい」
「…」
少女は、小さく頷いた。
「いつになったら帰ってくるのかな」
「寝たあと」
「随分遅いんだね。お仕事?」
「…」
黙り込む少女。
犬を連れた中年の女が、怪訝な目でこちらを見ている。あまり長居しない方が良いかもしれない。
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