817: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/05/05(火) 17:33:17.67 ID:Yiu9zhL/0
指定の時刻。私は、指定された部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
中に入ると、まず入り口に秘書が立って、出迎えてくれた。すぐに奥へ進むと、椅子に見知らぬ男が座っていた。物騒なことに、手錠で椅子に拘束されている。
「…何だね、これは」
「先生のご自宅の前で、見つけました。玄関に向けてカメラを構えていたので、捕まえて問いただしたところ、私立探偵と」
「…」
渋い顔で黙り込む男に、目を向ける。
「依頼人は」
「…奥様です」
男の言葉に、私は溜め息を吐いた。
「持ち物からは、カメラと写真データの入ったメモリが。音声データの類は見当たりませんでした」
「いつからつけていた?」
「昨日…奥様が出られた後から」
「そうか…」
目を閉じ、昨日までの行動を思い返す。昨日は午前中、絵里と別荘に行って、午後から家に帰り、夜は繁華街で食事をし、例の少女と接触し…
考えていて、ふと気付く。それぞれの行動は、当事者である私からしたら完全にアウトだと分かるが、客観的に見たら、どうだろうか? どこまで尾行されていたかは分からないが、絵里と接触しただけなら、朱音へのいじめを止めさせるための行いと言えなくもないし、繁華街では結果的に少女の犯罪行為を咎めただけだ。
「…写真を見せたまえ」
「こちらに」
秘書がノートパソコンを開き、こちらに向ける。一枚一枚確認して、私は少しずつ冷静さを取り戻していった。
どうやら、この男は大した探偵ではなさそうだ。殆どは家からの出入りの写真だし、絵里を拾った場面や、路地裏に入る場面は、そもそも写真に撮られていなかった。
「もういいよ」
パソコンを返し、男に向き直る。
「…1日と半分か。つけてみた感想は?」
「…模範的な父親であり、やましい所は一切ありませんでした…」
「よろしい。実は先程まで、デパートで買い物をしていたんだ。…仕事漬けで2人に構ってやれなかった、そのお詫びをと思ってね」
「…」
黙り込む男。秘書が私に、「どうしましょう」と尋ねた。
安価下 どうする?
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