82: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/07(火) 21:46:10.10 ID:M3gOiSk90
「まあまあ。顔を上げなさい」
「はぁ…」
「私は別に、気を悪くしてはいないんだよ。寧ろ、市民の安全のために働く者として、あの行動は正しかったと思う」
「あ…ありがとうございます」
「それにしても」
私は椅子に深く沈み、息を吐いた。
「あの手の通報は、やはり増えてるのかね」
「は…」
「はい、特に春先は多くなっております」
上司の方が身を乗り出す。
「理由としては、青少年健全育成に関する市民の関心が高まっていること、そして幼い子供を狙った犯罪の凶悪化が…」
「だが、いくら市民の関心が高いとは言え、当の子供が暗い時間に一人で遊んでいては、狙ってくださいと言っているようなものだろう。あの娘だってそうだ」
「はっ…」
固まる上司。私は、さり気なく尋ねた。
「…アレかね。家に帰れない女児というのは、最近多いのかね」
「…ふ、不審者の通報は頻繁に受けておりますが、児童の夜間徘徊につきましては、あの地域では…ほかっ、と、都市部と比較しまして…」
ハンカチで脂汗を拭い、絞り出すように言う。
「…早急に調べて、報告いたします」
「よろしく頼むよ」
何度も頭を下げながら、部屋を後にする2人の警官。目を閉じると、汚れたなりの黒髪の少女が浮かぶ。似たような境遇の少女が、他にもいるのだろうか…
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