966: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/05/10(日) 20:24:51.44 ID:W4M7xp0c0
…
「ちょっと、ごめんよ」
繁華街の中にある交番に、未汐を連れて入る。少し遅れて、眠そうな目をした中年の警官が出てきた。
「はい、はい…?」
彼は、まず未汐を見て顔をしかめた。それから私を見て……また、私を見た。
「…はっ?」
その顔が、さっと青褪める。雷に打たれたかのように気を付けをすると、一転して緊張した声で叫んだ。
「おっ、お疲れ様であります! 長官、いかがなされましたか」
「この娘がね」
未汐を顎で指す。
「私に頼みがあると言うんだ。詳しく聞きたいから、ちょっと場所を借りるよ」
「は、はあ…」
警官は呆然と、奥の詰め所に向かう私たちを見送った。
…
「事件の概要は覚えているよ」
灰色のデスクに向かい合って座ると、私は開口一番に言った。
「去年の年の瀬だったね。住宅街で、強盗殺人が続いていた。その中の一件が、君のところだった」
「塾で遅くなって…帰ってきたら、パパもママも、妹も…」
震える声で言う未汐。涙こそ流さないが、激しい感情が伝わってくる。
未汐は、顔を上げて私を見た。
「犯人を、捕まえたいんです。そのためなら、何でもします」
「何でも、と言われても…警察の実力は、今まさに頑張っている、現場の警官たちの実力だよ。私一人が頑張ったって、どうにかなるものじゃない」
「でも、あなたには権力があります! 警察の人に、たくさん命令できる。何なら、警察『以外』にも」
「…」
私は、思わず瞬きした。目の前の少女は、完全に目が据わっている。
実際のところ、私一人ではどうにもならない、とも限らない。目撃情報も足跡も残されている、ずさんな犯行を重ねながら、何故犯人が半年近く逃げおおせているのか。見つからないと言うよりは、捕まえられない事情がある、というケースもある。
例えば、そこに私が横槍を入れたら? だが、それは私にとっても重い行為だ。それ相応の『対価』が欲しいところだが…
安価下 どうする?
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