【安価・コンマ】ハーレムシミュレーター
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854: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/07/26(日) 20:49:35.94 ID:tdniDHVb0
…

 西禁に図書室があるというので訪ねてみると、広い城の割にはバルバスの教会にあったものと同じか、それより少し広い程度しかなかった。

「もっと、色々あると思ったんだけど…」

 きょろきょろしながら、本棚の間を歩き回る。時折手に取って開いてみるが、大陸語はさっぱりだった。

「誰かいないかな…?」

 奥の扉に近寄って、開けてみる。

「ん…ひっ!?」

「!」

 埃臭い空気に混じって、小さな悲鳴が聞こえてきた。

「誰かいるの?」

「…お待ち下さいね」

 中から声がして、やがて一人の少女が出てきた。黒い髪を短く切り揃えて、橙色のチャイナドレスを着た、痩せこけた女だった。

「ヤーウェンと申します。…ええと、あなたが勇者さま?」

「うん。アスラだよ」

「お会いできて光栄です。それで、図書室に何の用事ですか?」

「大陸について知りたくて」

 するとヤーウェンは、困ったような顔をした。彼女は、大きな城にしては小さすぎる図書室を見回し、申し訳無さそうに言った。

「…ご期待に沿えるかどうか。わたしたちの国は、歴史の断絶を少なくとも2度、経験しております」

「断絶…?」

「太古の昔から王朝が変わる度、前の歴史を否定してきましたが、その流れすら一度完全に焼き払われ…焼き払った国家さえ、精霊との戦いで跡形もなく消え去りました。ここに残っているのは、焼け跡から拾い集めた灰に過ぎません」

「そうなんだ」

 手に取った本を、開いてみる。後ろから覗いてから、ヤーウェンは言った。

「ですが、ここにある本についてお話しすることくらいはできますよ。どんな本をご所望でしょうか」

…


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