【ミリマスR-18】舞浜歩の抱えたトラウマを上書きする話
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20:オーバーライト 19/19[sage saga]
2021/03/14(日) 00:36:13.39 ID:Xw+hWuzl0
 遠目から見ているだけでも分かるぐらい、ベッドシーンの撮影はトラブルなく進行した。一見全裸に見えてしまう恰好でカメラやら集音マイクやらに囲まれていたのに歩は平静を保っているようだった。監督から出されたOKを合図に、ベンチコートを羽織って歩はベッドから抜け出してきた。

「お疲れさん」
「お疲れ。ちょっと緊張したけど、うまくやれてたでしょ?」
「相手役の人の方が緊張してるみたいだったな」
「あー、それなんだけどさ……」

 スタジオを出て廊下を歩いている最中に歩は口ごもった。サンダルのペタペタした足音が会話の空白を埋めようとする。

「撮影入る前に『何かあっても無くてもすみません、先に謝っておきます』って言われたんだけどね。撮影中、その〜……元気になってたのがちらっと目に入っちゃった、っていうか」

 声をひそめてそう言った歩が苦笑した。

「彼女に申し訳が立たないって嘆いてたんだけど、とりあえず『ドンマイ』って言っといたよ。男の人も大変なんだね」
「男のそういうのって誤魔化しがきかないからな。それだけ歩が魅力的だったってことだ」
「そ……そういうことに、なる……のかな?」

 曲がり角を通り過ぎて、更衣室の扉が見えた。

「じゃ、出口の所で待ってるよ」

 じゃあ後で、と口にした歩だったが、何か言いたそうにしている。

「どうした?」
「……プロデューサー、やっぱり今日も、遅くまで仕事あったりする?」
「あるといえばあるが……」

 胸元で、指先がもじもじしている。赤みの差した顔から、躊躇を含んだ目が見上げてきた。

「アタシ、明日は大学休みなんだ。だからさ。その、えーと……」

 真っ白な喉の下、浮き出た鎖骨の影が目に入った。

「来るか?」

 歩は遠慮気味に頷いた。どこへ、とは問われなかった。照れ笑いの下で、もじもじしていた両手がきゅっと拳を形作った。

 自販機から取り出したレモンティーが、妙に甘ったるい。



 終わり


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